事実と見解を区別する
伝わりづらい文章は、「どこまでが事実で、どこからが見解か」が明確になっていません。
これをはっきりさせなければ、読み手は混乱してしまいます。
まずはこれらを区別することから始めましょう。
原文
すれ違いざま、若いサラリーマンと肩がぶつかった。
おそらく、スーツ姿の男性とすれ違うときに肩がぶつかってしまったのでしょう。
しかしその男性は、本当にサラリーマンでしょうか。
「若い」とあるので、就職活動中の学生かもしれません。
自営業の可能性もあります。
この文は、事実と見解を混同しているのです。
改善文1
すれ違いざま、スーツを着た男性と肩がぶつかった。
事実のみを書くことで、読み手に誤解を与えずにすみます。
前後関係によって表現は変わってくるものの、伝えようとしていることは同じですね。
ただし、「書き手の主観や意見を盛り込むな」というわけではありません。
この文に見解を加えてみましょう。
改善文2
すれ違いざま、スーツを着た男性と肩がぶつかった。
あの若い顔立ちから察するに、おそらくこの春入社したばかりの新人だろう。
青字で示した文が、書き手の見解です。
これを文章に盛り込んでも、不自然にはなりません。
要するに、事実と見解は区別して書けばいいのです。
原文( すれ違いざま、若いサラリーマンと肩がぶつかった。)では、「確かな部分」と「あいまいな部分」が混同していました。
たとえばビジネス文書のような実用文であれば、これは許されません。
事実は事実として伝えなければならないので、見解が入ってしまうと実用文としての機能が失われるからです。
見解を書くように求められている文章なら許されるかというと、そうではありません。
「このような事実があった → 私はこのように考える」と、論理を組み立てる必要があります。
やはり、事実と見解は区別するべきなのです。
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