体言止めを使う
学校で習ったはずの「体言止め」ですが、これをうまく使える人はそれほど多くないでしょう。
そもそも、体言止めがどのような用法であるかを忘れてしまっている場合がほとんどです。
今回は、体言止めの定義や効果など、基本的なことを学んでいきます。
最初に理解しておきましょう。
体言とは、名詞のことです。
つまり、文末を名詞で終える表現であるから、「体言止め」と呼ばれるのですね。
体言止めが使われた例文を見てみましょう。
例
A. 中学2年の夏休みのことです。私たちは歩いて海に向かいました。
B. 中学2年の夏休み。私たちは歩いて海に向かいました。
例文では、Bの前半部分に体言止めが使われていますね。
AとB、両者を比較すると、体言止めを使うメリットが浮き彫りになってきます。
体言止めには、大きく分けて3つの効果があります。
1つ目は、文章を短くできること。
短く書くことは、文章の鉄則です。
Aで使われている「~のことです」といった表現が使われていますが、この言い回しがなくても文章は成立します。
そのため、例文のような場合には、体言止めを使ったほうが良いでしょう。
2つ目は、歯切れがよくなること。
文章を書いていると、文末に同じ表現を繰り返してしまうことがあります。
「~です」や「~だった」など、単調なリズムが続くと読み手は飽きてしまいます。
体言止めを使うことで、緩急をつけることができます。
3つ目は、含みをもたせられること。
本来、文章においてあいまいな表現はNGとされています。
しかし、Bのほうが趣きを感じる書き方であることはあきらかです。
もう一度見てみましょう。
例
A. 中学2年の夏休みのことです。私たちは歩いて海に向かいました。
B. 中学2年の夏休み。私たちは歩いて海に向かいました。
例文の場合、あえて言い切らないことで、遠い過去を想うような雰囲気を出しています。
その不確かさが、読み手の気持ちを次に続く文章へと繋げていくのです。
体言止めを使うことで、文章がもつ伝える力は何倍にも膨らみます。
書き手として、しっかりとおさえておきたいテクニックのひとつですね。
ただし、何事にもいえることですが、使いすぎは禁物です。
体言止めに関しては、「3回以上使わない」「2回以上続けない」と、さまざまな定説があります。
その定説に準じるのもかまいませんが、それよりも大切なのは体言止めの効果を理解することです。
書き手がテクニックとして有効に作用させようとすれば、おのずと使いどころが定まってくるはずです。
最大限に効果を発揮できるようなタイミングを見極めながら、体言止めを使いましょう。
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