「」と『』の使い分け【かぎかっこの使い方】
今回は、かっこの使い方について基本的な部分を確認します。
クローズアップするのは、かぎかっこ「 」と二重かぎかっこ『 』の使い分けです。
まずはそれぞれの特徴についてみていきましょう。
かぎかっこ 「 」
数あるかっこの中で、もっとも使用頻度が高いのではないでしょうか。
原則として、かぎかっこは話し言葉を引用するときに使われるかっこです。
例
彼は「君のことしか考えられない」と言った。
単語や固有名詞をくくって強調することもできます。
例
きっと、「妖精」のいたずらさ。
性質の違う文字をくくることで、見やすくすることも重要な役割です。
例
覚えるべきは「illustrator」の使い方だ。
よく使われる用途としては、このくらいでしょうか。
次は、二重かぎかっこについて考えていきましょう。
二重かぎかっこ 『 』
「 」よりも強調されるため、二重かぎかっこを使う人も少なくないでしょう。
しかし二重かぎかっこは、作品のタイトルを引用するときに使うのが原則です。
芸術作品から娯楽作品まで、二重かぎかっこを使ってくくります。
例
初めて読んだ小説は、夏目漱石の『こころ』だった。
しかしこれでは使用機会が少なくなってしまう書き手もいるのではないでしょうか。
二重かぎかっこには、もうひとつ重要な特性がります。
これは今回のテーマとなる部分なので、次の項で説明します。
かぎかっこ「 」と、二重かぎかっこ『』の共存
たとえば、かぎかっこの中でくくりたい箇所があったとしましょう。
例
彼は言った。
「大丈夫、きっと「アンパンマン」が助けてくれるさ」
私は、この言葉だけが心の支えだった。
「 」のなかに「 」がある状態ですね。
これは文法のルールに反しています。
「「」」
このようなつもりで書いたのでしょう。
しかし、表記上は始まりと終わりが混在しているため、
「「」」
このような解釈もできます。
読み手の立場で考えると、混乱を招きやすい文章なのです。
そこで活躍するのが、二重かぎかっこの存在です。
例
彼は言った。
「大丈夫、きっと『アンパンマン』が助けてくれるさ」
私は、この言葉だけが心の支えだった。
このように区別すれば、解釈の違いはなくなるでしょう。
もちろん文法のルール違反もなく、しっかりと区別して書くことができています。
二重かぎかっこがもつ重要な特性は、会話の中の引用です。
例にあるとおりですね。
読み手を混乱させることのない文章を書くためには、二重かぎかっこの存在が必要なのです。
最後に
今回の内容は、基礎中の基礎です。
かっこの使い方はさまざまあるため、触れられなかった部分もたくさんあります。
それぞれの特性を理解した上で、基礎を固めることが重要です。
その上で、適切な使い方を心がけましょう。
余談にはなりますが、文法のルール違反について話が出ましたね。
「「」」
このような表記です。
実は上記のように「誤読を招く表記」で掲載している文章を、これまで何度も見かけています。
大手メディアの記事だったり、公的な文書だったりと、文章の強度に限らず起こり得ることです。
初歩的なミスは誰にでもあることですが、仕事としてのライティングでもつまづいてしまう部分といえます。
そうならないように、書き手は気をつけなければなりません。
かっこを使ってくくるのであれば、しっかり区別しましょう。
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