「違和感」で読み手の目を引く
今回は、読み手の目を引く表現の作り方についてご紹介します。
ご存知のとおり、文章において、読み手に違和感を与える書き方は禁物です。
しかし今回ご紹介するテクニックは、その「違和感」を利用するものです。
方法としてはとても単純で、コロケーションの組み合わせを工夫するだけです。
例を見ながら考えていきましょう。
少女の未来は、夢にまみれている。
「まみれる」は、どちらかといえばネガティブな言葉に用いられる表現です。
たとえば「不安」や「苦労」といった単語であれば、文脈の相性は良くなるでしょう。
例文にある「まみれる」は、「夢」という言葉にかかっています。
「夢」はポジティブであるべき言葉のため、例文の表現に違和感を覚えるわけですね。
次のように書きかえみます。
少女の未来は、夢にあふれている。
このように書きかえたことで、さきほどまでの違和感を消すことができました。
しかし同時に、おもしろみも消えてしまいました。
執筆には「ひねり」を加えたい場合があります。
たとえば「タイトル」や「キャッチコピー」を書くときに、何の変哲もない文言では読み手の目を引くことはないでしょう。
そこで、最初の例文にあった違和感を利用するのです。
もう一度見てみましょう。
少女の未来は、夢にまみれている。
ポジティブな言葉を、あえてネガティブなコロケーションに組み合わせる。
このように逆説的に結ばれた表現は、文章に違和感をもたらします。
これを書き手が意図して行えば、違和感をもって読み手の目を引くことができるのです。
強引な方法に思えるかもしれませんが、このテクニックは日常生活でもよく見られます。
たとえば「美人すぎる○○」という表現にも、同様のテクニックが用いられています。
ポジティブな「美人」に、ネガティブな「~すぎる」を組み合わせることで、良い面が目立っている様子を表現しています。
コロケーションを意識していると、このような言葉選びも可能になるのです。
書き手としては、おさえておきたいポイントですね。
しかし、油断は禁物です。
このテクニックは、賛否が問われることを忘れてはなりません。
一般的な文章であれば、適切なコロケーションを選ぶことが原則となります。
今回ご紹介したテクニックは、その原則を捨てて表現しなければなりません。
あえて「違和感」をもたらすからには、書き手の「狙い」や「目的」が明確であることが前提になります。
使いどころや表現の仕方を、緻密に計算した上で行うことも必要ですね。
十分に注意さえすれば、このテクニックはさまざまなところで活用できます。
前述したように、「キャッチコピー」や「タイトル」にも使えますし、情景描写に心情を交えることだって可能です。
印象的な表現を作り出したいときには、コロケーションの組み合わせを工夫してみましょう。
■ 参考
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