【アイテム】最適なキーボードについて【選び方・考え方】
キーボードは、物書きがもっともこだわるべき仕事道具といっていいでしょう。
テキスト入力の発端を担うのはもちろん、身体的に接触する時間が長いツールでもあります。
だからこそ、なるべく「良いもの」を選びたいところですね。
しかし選択肢は無数にあり、人によって好みも違ってきます。
自分にとって最適なキーボードを探すため、ポイントを絞って考えていきましょう。
入力方式について
世の中にあるキーボードの仕様は多種多様で、数多くの製品がリリースされています。
「接続方法」「キー配列」「筐体サイズ」といった外観上の仕様から、「ピッチ」「押下圧」「ストローク」のようなタッチにかかわることまで、あらゆる選択肢が用意されています。
もっとも根幹にある違いといえば、「入力方式」でしょう。
キーボードの入力方式には、大きく分けて4つの種類があります。
メンブレン
2000円程度で販売されている一般的なもの
● 価格 → 安価
● 打鍵感 → ブニュブニュ、ムチムチ
パンタグラフ
ラップトップやタブレットに使われる薄型のもの
● 価格 → 安価
● 打鍵感 → パタパタ、ペチペチ
メカニカル
スイッチ構造が独立しているもの
● 価格 → 高価
● 打鍵感 → カチカチ、ガコガコなど
(※スイッチの種類によって変わる)
静電容量無接点
スイッチの電極が接触せずに入力されるもの
● 価格 → 高価
● 打鍵感 → スコスコ、サクサク
入力方式の違いは、価格や打鍵感にも直結する部分です。
こだわるとしたらおそらく、スイッチの選択肢が多いメカニカルや、打鍵感や耐久性の評価が高い静電容量無接点方式から選ぶことになるでしょう。
細かな仕様に違いはあるものの、具体的なキーボード選びはここから始まります。
価格について
一般的な工業製品は、「高価」であれば高品質、「安価」であれば相応の製品であることが予想できますね。
品質以外の付加価値は別にして、キーボードの品質も基本的には同様の傾向があります。
「高級キーボード」と呼ばれる製品は、正規の販売価格が約3万円です。
ほとんどが「静電容量無接点方式」を採用した製品で、『REALFORCE 』や『HHKB』が有名ですね。
キーボードへの出費としてはなかなか勇気のいる金額です。
しかし裏を返せば、3万円程度で「最高級のもの」が手に入るとも捉えられます。
たとえばワーキングチェアで最高級のものを買うとなれば、20万円は覚悟しなければなりません。
そう考えると「3万円」は決して手が届かない金額ではないはずです。
もちろん「好み」と「販売価格」は本来関係がありません。
予算には限りがありますし、安価なメンブレンやパンタグラフを好んで使う書き手もいるでしょう。
しかし執筆作業おいて、「予算のかけどころ」はそれほど多くありません。
大切な仕事道具だからこそ、いつもより少しだけ視野を広げて、高価なものを検討していいのではないでしょうか。
「慣れ」でまかなえる
最初のうちは「押下圧」や「キーストローク」の具合など、自分にとって適切な加減を判断できないはずです。
あらゆるキーボードが手元にあれば時間をかけて比較できるでしょうけれど、現実的ではありません。
単体では数万円程度で入手できたとしても、2つ3つと増えていけば、馬鹿にできない金額になるからです。
さらにやっかいなのは、実際に使ってみなければ良し悪しがわからないことです。
いざ入力してみるとしっくりこなかったり、長期間使ったからこそ欠点が浮き出てきたりと、本当の使い心地を実感するまでには時間が必要です。
納得できなければ買い替えを検討するでしょうし、満足するにはそれなりの出費を覚悟しなければなりません。
しかしその一方で、「慣れ」でまかなえることが多いのもたしかです。
どれだけ特殊な配列のキーボードであっても、不良品や粗悪品でない限り、普通に使えるようになります。
使用感へのこだわりは大切ですが、完璧な製品を一度で選ぶことのほうがむしろ非現実的です。
最初のうちはぎこちない時間が続いたとしても、基本的には慣れが解決してくれるので安心してください。
長い旅になる
キーボードは、書き手の「考え」や「思い」を具現化するためのインターフェースです。
まるで自分の手や指のように、シームレスに扱える状態が理想ですね。
しかし、”沼にはまる”と表現されるように、キーボードの終着点はなかなか見つかりません。
お気に入りのものを見つけるまでには「長い旅になる」ことを覚悟しましょう。
(そうでなくとも次々と新しいものがほしくなりますが……)
思い切って静電容量無接点方式のキーボードを買ったとしても、人によってはメカニカルのほうがしっくりくることだってあります。
メカニカルといっても多種多様で、もっとも有名な『Cherry MX軸』でも10種類以上、派生したメーカー製の軸を含めるとさらに数は増えます。
キーの配列も日本語と英語で違いますし、キーの採用数やピッチ、押下圧やアクチュエーションポイントの違いまで含めると、判断すべき要素がどんどん複雑になります。
いろいろと試した結果、メンブレンやパンタグラフに回帰することもあるでしょう。
少しでもコストをおさえるためにも、大きな家電量販店やパソコンショップなどに足を運んで試すことをおすすめします。
その場での判断は難しくても、サンプルがあるのとないのでは大きな差があります。
周囲にキーボード好きな人がいれば、実物を借りたり、触らせてもらったりするのもいいですね。
レビューも参考にしつつ、できれば実際に試しながら検討しましょう。
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