仮名の表記を統一する
文章を書くときは、文中の表記を統一しなければなりません。
これは、実用文から文学作品まで、すべての文章に共通する原則です。
そのなかでも今回は、仮名の表記についてピックアップしてご紹介します。
今まで一番おもしろいと思ったお笑い芸人は、○○だ。
しかし、特徴が「複雑な構造をもったネタ」であるため、わかりやすく笑える芸風ではない。
面白さの本質が世間に分かってもらえないことが残念だ。
同じ使い方をする言葉でありながら、表記が変わっている箇所があります。
「おもしろい」 → 「面白い」
「わかりやすく」 → 「分かって」
単なる仮名表記の違いであるため、どちらで書いても間違いではありません。
しかし、同じ文中でこれらの表記をそろえないのはNGです。
主な理由としては、2つあります。
1つ目は、表記を統一しなければ視覚的に読みづらくなるからです。
最初の2行ではひらがな表記だったものが、最後の行で漢字表記になってしまうと、読み手はとまどってしまうのです。
2つ目は、表記が違えば同じ言葉として扱われなくなるからです。
仮に、「おもしろい」と「面白い」が、意味も使い方もまったく異質なものだったとします。
それを意図して書き分けるのであれば、理屈として通用するでしょう。
ただし原文の場合は、本来統一すべき表記をあべこべに書いてしまったのであって、書き手のミスでしかありません。
問題がある箇所を書き直しましょう。
今まで一番おもしろいと思ったお笑い芸人は、○○だ。
しかし、特徴が「複雑な構造をもったネタ」であるため、わかりやすく笑える芸風ではない。
おもしろさの本質が世間にわかってもらえないことが残念だ。
今回は、ひらがな表記に統一しました。
書き手が迷うポイントを挙げるとすれば、どちらの表記に合わせるかでしょう。
もちろん、副助詞のようにひらがな表記が一般的になっている言葉に関しては、当然ながらひらがなで書くべきです。
判断に迷ったときに基準となるのは、文章で使われている仮名の比率です。
例文の場合は、漢字の比率が多い文章でした。
そのため、ひらがな表記にあわせて書き直したのです。
もしもひらがな表記の多い文章であれば、漢字にしたほうがバランスをとれるでしょう。
仮名の表記をないがしろにしてはいけません。
これを失敗すれば、「統一性がない」とみなされ、文章そのものがぐらついてしまうのです。
そうならないためにも、まずは「表記の統一」という原則を守ること。
さらに、全体のバランスを考えながら、文中に使う表記を判断すること。
これを念頭におきながら、執筆しましょう。
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