五官をからめた表現を使う

 

文章において、五感を折りこむことは重要です。

「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」をふんだんに使って、読み手に訴えかける。

伝えるためには、欠かせない要素ですね。

 

しかし今回のテーマは、五感ではありません。

フォーカスするのは、「五官」です。

 

五官とは、人間の顔にある感覚器官を指します。

具体的には、「目」「耳」「鼻」「口」「舌」といった、5つの身体器官ですね。

 

この五官をからめた表現を、文章に落とし込んでみましょう。

 

たとえば、「見える」という表現を書いたとします。

五官を使うのであれば、「目につく」という表現に書きかえられますね。

 

これだけで、なんだかワンランク上の表現になったような気がしませんか。

五官を使った例をいくつか見てみましょう。

 

● 聞こえる        ⇒ に入る

● 自慢する        ⇒ にかける

● うっかり言ってしまう  ⇒ が滑る

● おどろく        ⇒ を巻く

 

具体的な実感をもたらしているのは、どちらでしょう。

右側に並んだ、五官を使った表現ではないでしょうか。

 

体の一部をもって書かれた表現は、読み手の身体感覚にアクセスしやすいという特徴があります。

現象をただ言語化しただけの言葉よりも、身体感覚から得られる情報のほうが「生の感覚」に近いからです。

つまり、たとえ文面から想像される架空のものであっても、読み手自身に投影しやすいのです。

 

実際の執筆では、前述したような「書きかえ」の作業になるでしょう。

文章をより良いものにするためにも、こうしたテクニックを覚えておくのは有効です。

実感をもたらすような、印象的な表現を使いましょう。

Posted by 赤鬼