「モノ」を使って伝える
文章は、認識を共有するための「一般論」になってしまうことがあります。
上位概念をもとに展開すれば、「例外」が少なくなる上、より多くの人の共感を得やすくなるからです。
しかし、これでは内容が漠然としてしまうのもまた事実です。
読み手に伝わりやすくするための、ちょっとしたコツがあります。
モノを使えば良いのです。
例文
近所のスーパーマーケットに行った。
野菜売り場のさつまいもが目に入り、私はほとんど無意識にカゴの中へ入れた。
季節がもたらす情緒が、そうさせたのだろう。
物事の詳細を伝えるとき、上位概念を用いて展開するのは悪手です。
読み手に伝えるためには、長々とした説明が必要になる場合が多いからです。
例文のように、下位概念である「モノ」を用いてみましょう。
キーワードは、「さつまいも」ですね。
たとえばこれが「秋の味覚」とだけ書かれていたのなら、なんのことかわかりません。
さつまいもの存在が、語らずとも秋を感じさせているのです。
文章を具体化し、内容を伝えるにあたって、モノを使うという手段は非常に有効です。
内容を象徴するモノがそこにあれば、たったひとつの単語でもしっかりと伝わるのです。
それもそのはずで、私たちにとってモノは身近な存在であり、これは文章に「生活感」をもたらします。
服やアクセサリー、車や楽器など、思い入れのあるモノであれば、書き手の感情を投影することもできます。
いわば、「遠」から「近」へズームインする感覚ですね。
この感覚をもっていれば、書き方や伝え方のバリエーションがぐっと広がります。
文章の内容があいまいになっている様子を感じ取ったときは、「モノ」を意識してみましょう。
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