モノの描写に役立つ 5つのポイント
どのように表現すれば、そのモノの様子が読み手に伝わるか。
書き手は、これを考えながら描写する必要があります。
今回は、モノを描写するときに、書き手が着目すべきポイントをご紹介します。
試しに、このマグカップを描写してみます。
円柱状の陶器は、ぼってりとそこに居座っている。
白く冷たいそれは、まるで煙突のように、自らの口から蒸気が出ることを今か今かと待っている。
側面についた取っ手は、「ここを使え」といわんばかりのサインを私に送り続けている。
モノの描写において着目すべきポイントは、5つあります。
目次
1. 形状 大きさ / 長さ / 幅 / 重さ / 面積 / 体積 / 容積 など
⇒ 「円柱状の」「側面についた取っ手」
「マグカップ」のように万人がイメージできるものであれば必要ないかもしれませんね。
しかし、描写する対象が一般的なものでない場合は、形状を伝えることから考えましょう。
2. 質 色 / 材質 / におい / 音 / 温度 / 触感 など
⇒ 「陶器」「白く冷たい」
モノの質を伝えることも重要です。
読み手に実感をもたらすには、この「質」をどう描くかにかかっています。
3. 機能 仕組み/ 効用 / 使い勝手 /影響 / 利点 / 問題点 など
⇒ 側面についた取っ手が、「ここを使え」といわんばかりのサインを私に送り続けている。
そのモノがどのような意味をもっていて、どのような使い方をするか。
書き手は、見たままを伝えるだけでなく、これについても考えたほうが良いでしょう。
モノの機能に注目することで、一味違った表現で描写できるようになります。
4. 印象 雰囲気 / たたずまい / 風合い / 心象 など
⇒ 「ぼってりと」
1~3までの項目は、モノの要素を説明するという意味合いが強く出ていました。
五感では伝えられない漠然としたイメージを言語化することも、モノを描写するポイントのひとつですね。
5. 比喩 ~のような / ~みたいな など
⇒ まるで煙突のように、自らの口から蒸気が出ることを今か今かと待っている。
モノの描写というと、はじめにこの「比喩」が浮かぶ書き手も多いでしょう。
例文では、最初から最後まで比喩表現のひとつである「擬人化」を使いながら、そこに比喩表現を重ねています。
比喩は描写の醍醐味のひとつでもありますが、的を外してしまうと読み手に伝わらなくなってしまいます。
比喩を用いて表現する場合は、慎重に行いましょう。
ここまで5つの項目をご紹介しましたが、そのすべてを網羅する必要はありません。
なかには、文章にもたらす意味が重複しているものもあります。
(形状、機能 → 「側面についた取っ手」など)
書き手はそれを組み合わせ、うまく取捨選択して、読み手が求める情報を提示しなければなりません。
つまり、不要な情報はカットして、描写の純度を上げていくのです。
「形状・質・機能・印象・比喩」という5つの項目をきっかけにして、書き手が伝えたいモノをしっかりと伝えましょう。
■ 参考
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