「事実」と「真実」の違い

今回は「事実」と「真実」の書き分けについて考えます。

これはテクニックというより、書き手がどのように意識するかが重要です。

 

まず、「事実」と「真実」の違いについて見ていきましょう。

大きく違っているのは、次に挙げる部分です。

 

● 事実は、客観的なもの

● 真実は、主観的なもの

 

もちろん、辞書での内容を参考に考えれば、間違いありません。

しかし文章においては、この「客観と主観」をもとに考えたほうが、実践しやすいでしょう。

 

たとえば、窃盗事件があったとします。

窃盗事件が起きたという状態は、まさに「事実」です。

この事実に基づき、事件に関わった人たちが被害者と加害者に分けられ、加害者は法的に罰せられるでしょう。

 

しかし、この一連の流れは「真実」ではありません。

 

真実とは、それぞれの立場によって変わってくるものです。

被害者からすれば迷惑を被ったわけですから、「加害者は罰せられるべき」といった心境は真実です。

一方で加害者が犯行に及んだ動機、たとえば「うらやましいと思った」など、これもまた真実といえます。

 

このように、客観的な事実はひとつですが、真実は複数存在するのです。

書き手は、この両者を区別しなければなりません。

 

 

論文や新聞記事など、客観性が求められる文章では、「事実」を書く割合が大きくなるでしょう。

ブログのような個人の作文や小説など、主観に重きをおく文章では、「真実」を盛り込まなければなりません。

 

今、何を書いているか。

自問自答しながら、「事実」と「真実」を区別して、執筆しましょう。

 

 

Posted by 赤鬼