現在形を使って語尾の連続を防ぐ
小説を書いていると、同じ語尾をくり返すことが多くなります。
「~した」「~していた」「だった」のような語尾が、近距離で続いてしまう場合ですね。
次の文章も、まさにその例のひとつです。
原文
発信ボタンを押して、しばらく画面を見つめた。
一向に繋がらなかった。
僕はあきらめて、携帯電話を右ポケットにしまった。
このくらいの文量であればストレスなく読めるかもしれません。
しかしこれが、何万文字ともなると話は変わってきます。
同じ語尾が執拗に続けば、読み手は飽きてしまうでしょう。
そこで、ちょっとした工夫を凝らしてみます。
間にはさむように、現在形を使うのです。
改善文
発信ボタンを押して、しばらく画面を見つめた。
一向に繋がらない。
僕はあきらめて、携帯電話を右ポケットにしまった。
過去形での語尾が続くと、どうしても報告や説明をしているような印象を受けてしまいます。
そこにあえて現在形を使うことで、読み手の意表をつくわけですね。
「一向に繋がらない」とすることで、登場人物の心境がより身近に感じられる文章になりました。
読み手をぐっと引き寄せ、実感と臨場感をもたらすことができたのです。
読み手が飽きないようにするためだけでなく、リアルな場面にするためにもこの方法は有効です。
もちろん、書き手が意図して同じ語尾を連続させているのであれば良いでしょう。
それに加え、今回の方法は、近くにあるセンテンスの時制を変えてしまうのですから慎重になるに越したことはありません。
ただし、小説の文章には、抑揚をつけるべきポイントが必ず出てきます。
選択肢のひとつとして、間に現在形を用いる方法をもっておいて損はありません。
同じ語尾が連続していたら、思い切って現在形を使ってみましょう。
■ 参考
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