登場人物を動かす方法

今回は、「登場人物をどのように動かすか」について考えます。

場面に「動き」を演出するとき、書き手が手を加える対象となるのは登場人物ですね。

これを闇雲に考えるのは無謀です。

「動かし方」という漠然とした概念に身構えてしまい、筆が進まなくなる書き手も少なくないでしょう。

今回はこの問題について、構造的に解決する方法をご紹介します。

まずは例を見てみましょう。

原文

● 定食を食べ終えるまでのスピードは、ほぼ同じだった。

● 食事を済ませた彼は、何かを言おうとしているようだった。

● 僕は不安な気持ちになった。

この場面から、動きはほとんど感じられません。

登場人物がおかれた状況はなんとなく想像できますが、やはり「のっぺりとした説明文」といった印象を受けます。

動きのある場面にするために、文章構造を変えてみましょう。

ポイントとなるのは、それぞれの文章に具体的な動詞をおくことです。

改善文

● 僕たちは、ほぼ同時に定食を食べ終えた

箸をおいた彼は、何か言いたげにゆっくりと口を開いた

● 僕は不安な気持ちで、その様子を眺めていた

助動詞(~た)を使って終わっている点は共通しています。

しかし「食べ終える」「箸をおく」「口を開く」「眺める」といった具体的な動詞を文末におくことで、登場人物の動きが明確になっていますね。

書き手が「登場人物をどのように動かすのか」を考えるとき、まず「登場人物が何をしているか」に着目することが重要です。

これが明らかになれば、登場人物の動きがはっきりしてくるはずです。

次の段階として、それぞれに動詞を当てはめるわけです。

具体的な動詞を使うことで、登場人物が文章にのって動き出します。

このようにして描かれた場面は、おのずと活性化するでしょう。

もちろん、身体的な「動き」がすべてではありません。

実際に体を動かす場面でなくても、登場人物の感情は動き続けています。

作中において、「身体的な動き」と「心情的な動き」の違いを区別することも大事ですね。

書き手がこれを区別すれば、それぞれを発展させることもできます。

「身体的な動き」と「心情的な動き」を重ね合わせて描写したり、心身の動きに「情景」を混ぜ込んだりすることもできます。

さまざまなパターンを使うにも、まずは動詞を意識することが重要なのです。

作中で「動き」を必要とする場合、まず「登場人物が何をしているか」をはっきりさせましょう。

そこに具体的な動詞を当てはめることで、場面全体が躍動するはずです。

「動かし方」に悩んでいる書き手の参考になれば幸いです。

■ 参考

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