書き手として「辞書」を活用する

今回は、辞書について考えます。

インターネットに繋がる環境さえあれば、辞書の存在はもはや不要といっていいでしょう。

わからないことがあれば、手元のスマートフォンを使って検索すれば済むわけですから、わざわざ重たい辞書を開いて調べる必要はありません。

ただし、これは自分が受身でいるときの効率的な選択でしかありません。

書き手として言葉に向き合うのであれば、話は変わってきます。

書き手であれば、自らが言葉を選び、操り、文章にして伝えなければなりません。

したがって「正しい言葉の使い方」に対しては常に敏感であるべきで、書き手としての生命が立たれるまで日々研鑽していく必要があります。

たとえば、「特徴」と「特長」をそれぞれ適切に使いわけられるでしょうか。

どちらも日常的に使われる言葉ですが、瞬時の判断となるとかんたんではありません。

ほかにも、「更正」と「更生」、「嗜好」と「志向」、「感心」と「関心」など、いざ使うとなると表記に迷ってしまう言葉はたくさんあります。

執筆において、知識不足からくるこうした迷いは大きなストレスになります。

そのストレスを解消する方法のひとつが、辞書を開くことなのです。

辞書は、同音異義語をとなり合わせで見ることができます。

上記に挙げた言葉の意味を理解できるのはもちろん、両者を比較することも可能です。

複数の言葉を並べながらそれぞれを学ぶことで、はじめて使い方を習得することができるのです。

さらにいえば、本来調べたかった内容とはまったく関係のない言葉も一緒に目に入ります。

辞書を開くだけで、「見聞きしたことがなかった言葉」や「これまで一度も考えたことがなかった言葉」が、自分に流入してきます。

未知の言葉に出会うことで語彙力を高められる機会はそうそうありません。

当初の目的は似たような言葉を比較することだったとしても、結果として書き手としての見識を広めることにもつながるのです。

辞書は最新版を買うに越したことはありません。

しかし、古い辞書でも十分に活用できます。

言葉が大きく変質するには時間がかかるもので、「古い辞書だから使えない」という事態は考えにくいのです。

むしろ、「書き言葉」として扱うのであれば古い辞書のほうが相応しい場合もあるでしょう。

実際のところ、現在愛用している辞書はずいぶんと古いものです。

表紙には「新版」とありますが、発行された時期は昭和後期にまでさかのぼります。

この辞書は、平成や令和の時代を知らないのです。

時おり、この辞書をランダムに開いては、ページに書かれた言葉を見つめています。

「知らない言葉」に出会えばその意味を学んだり、「知っている言葉」の意味や用法を確認したりと、目を通すだけでも大きな刺激になります。

使えそうな言葉をメモにとれば、具体的なかたちで執筆活動に活かすこともできるため、実用性も感じられます。

調べものをするためだけに辞書を使うのは、非常にもったいないことです。

語彙力を高めたり、見識を広めたりと、書き手自身の質を向上させたい場合にも、辞書はとても便利に使えるアイテムなのです。

「辞書を開く習慣をつけるべき」とまでいいませんが、手元に一冊おいてみてはいかがでしょうか。

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