思いついたネタを出し惜しみしない
小説を執筆するとき、「書きたいこと」を頭に浮かべているはずです。
この記事で扱いたいのは、「世の中に対するメッセージ」や「自分の主義・主張」といった、大きなテーマのことではありません。
「〇〇を舞台設定とする」や「〇〇する場面を盛り込む」のような、一般的に”ネタ”と呼ばれる類のものです。
このネタについて、書き手によっては「次回作にとっておこう」というように、あえて書かないことがあるようです。
はっきりと書きます。
せっかく思いついたネタを出し惜しみすることは、絶対にやめましょう。
理由はかんたんです。
書き手が「余力を残しながら書いた作品」と「全力で書いた作品」とでは、意味合いがまるで違ってくるからです。
読み手の立場からすれば、手を抜きながら書かれた作品を読みたいと思わないのは当然です。
書き手としても、そのような作品を世に送り出すわけにはいきません。
例外があるとしたら、ネタを温存しながらも複数の本を出版できた作家です。
それぞれの作品でネタを出し惜しみした経験があり、なおかつ商業出版できたのであれば、その作家は良質なアイディアが波のように押しよせるタイプなのでしょう。
そうでない場合、やはりネタの温存など考えるべきではありません。
目の前にある物語に全力を出さなければ、良い作品を生みだすことはできないのです。
さらに加えると、出し惜しみしたネタがほかの物語との適合するとは限らないことも覚えておきましょう。
ある作品では馴染みのよかったネタであっても、別の作品で使うとなかなか溶け込まないこともあります。
そうなると、もはやそのネタは「使えない」と判断すべきです。
使えないネタであればきっぱり捨てることにして、新たなものを探したほうが健全ですね。
書き手は、ネタが枯渇することを心配するのかもしれません。
しかし不思議なことに、一作目に全力を出せる書き手であれば、二作目に取りかかったときも自然と筆がすすむものです。
むしろ、一作目に全力を出せない書き手は、その一作目を完成させることすらも難しいはずです。
継続的に創作するためにも、ネタを出し惜しみすることなく、目の前の作品に全力を注ぐようにしましょう。
■ 参考
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