場面の在り方を意識する
「場面は小説の最小単位」という考え方があります。
小説の書き方について学んだ書き手は、似た文言をどこかで見聞きしたことがあるかもしれません。
たしかに、物語の途中で理屈を長々と説明していたり、図表が設けられていたりなどは、小説らしくありませんね。
小説は物語ですから、いくつもの場面が連なっていて、その組み合わせによって構成されているのです。
今回は、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
場面が小説の最小単位であれば、あなたの書いた物語を場面ごとに区切ることができるはずです。
書き出した原稿用紙でも、プリントアウトしたものでもかまいません。
一度、場面ごとに線をひいて区切ってみましょう。
もしも上手に区切れなかった場合は、なんらかの問題を抱えている可能性があります。
場面の境界があいまいで線引きできなかった場合は、それがどのような場面であるかを書き手自信でも明確にできていないことになります。
いいかえれば、いつどこで誰が何をどのように行ったのかを具体的に把握できていないということです。
読み手であれば、なおさら不明瞭なままでしょう。
したがって、場面を区切るということは、その場面の意味を確かめることにつながるのです。
そうして把握した具体性は、物語の流れにも大きく影響します。
たとえはっきり区切ることができたとしても、かならずしも健全に構成されているとは限りません。
物語の流れからみたときに「本来あるべき場面」が欠落していたり、「描く文章」ではなく「説明する文章」だけで構成されていたり。
あるいは、文章の配分が偏りすぎている場合や、前後関係が不適当である場合など、いびつな状態になっていることもあるでしょう。
このような構成上の不備を検出するためにも、作中で扱う場面に対する意識は強くもっておくべきなのです。
書き手自身が場面の区切りをあいまいにしていると、さまざまな不具合が生じます。
このようなバラつきは、物語に「不自然さ」をもたらす要因となるため、注意しなければなりません。
物語上の場面の在り方を意識することによって、大部分が解消されるはずです。
自分の描いた場面を構造から見直し、あらためてその意味を考えましょう。
■ 参考
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