一人称は読み手を遠ざけがち
一人称の省略は、文章をすっきりさせるために必要なテクニックです。
ただしこれは、単に文字数を減らすことだけを目的としているわけではありません。
読み手との心理的な距離を操作するための手法でもあるのです。
例文
A. 私は、猫が好きだ。
B. 猫が好きだ。
Aは、書き手の意思を強く感じさせます。
主張する意味合いが強まり、どことなく押し付けがましく感じてしまいます。
悪く表現すれば、読み手を切り捨てるような文章です。
これは、「私は」の一言が主張の範囲を限定していることが要因です。
”あなたはどう思っているか知らないけど、自分はそう思うよ”
このようなメッセージが、暗に込められてしまうのです。
それに対してBは、しっかりと冷静さを保っている印象を受けます。
同じことを主張しているのにも関わらず、Aよりもスマートに伝えることができています。
心理的な距離を近づけるには、一人称は書かないほうが良いのです。
たった一言で、文章の表情は変わります。
どうしても「私は」という主語、つまり書き手の一人称を用いる必要がある場合は、慎重に判断しなくてはなりません。
特別な意図がなければ、一人称は省略しましょう。
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