三人称の表現で、伝わり方が変わる

 

三人称の使い方について調べると、検索上位に上がるのは三人称小説の執筆方法に関する記事です。

今回は、そのような技術についてのご紹介ではありません。

三人称の使い方でも、より基本的なこと、読み手への伝わり方について解説します。

 

そもそも、なぜ三人称を使うのでしょうか。

誰かに何かを伝える上で、自分と相手以外の物事を表現する理由はあるのでしょうか。

それは、描写や説明が必要だからです。

 

たとえば好きなアイドルのことを書くとき、どのように表現するでしょうか。

「A子」「A子ちゃん」「嫁」「推しメン」と、同一人物のことを書く場合でも選択肢はさまざまです。

重要なのは、表現によってその人への気持ちが暗に示されるということです。

 

「A子」や「A子ちゃん」では、この時点でファンであるかはわかりません。

「嫁」や「推しメン」と表現すれば、そのアイドルに対する気持ちが表現できます。

 

三人称が表現するのは気持ちだけではなく、その人との距離感も表します。

身近な人であれば、どのような関係なのか、どのくらい親密なのかまで、三人称の表現から読み取ることができます。

描写や説明として三人称を使う以上、もっとも適した表現を選ばなければなりません。

 

読み手は、書き手の感情を敏感に受けとります。

表現による伝わり方の違いは微々たるものですが、小さなニュアンスこそが文章の印象を決定づけるのです。

このことを常に意識しながら、適切な三人称を使っていきましょう。

 

 

 

 

Posted by 赤鬼