連用中止「、」の使い方

2017年5月31日

 

文章において、重要な役割を担うのが読点「、」の使い方です。

今回は連用中止と呼ばれる用法について、基本的な使い方をご紹介します。

 

連用中止とは、動詞の連用形と読点をあわせて成り立ち、二つの文を一つにまとめる役割を果たします。

テ形接続と同じような役割ですが、実際には大きな違いがあります。

連用中止では、つながった文の前後関係が区別されるのです。

 

 

例文
 よく食べ、よく眠る。

 

何の変哲もない文ですが、書き手側の目線でこれを分析しましょう。

食べながら寝ることはできないので、「よく食べる」と「よく眠る」は区別して考えなければなりません。

このような場合に、連用中止を用います。

 

別の例も見てみましょう。

 

 

原文
 彼はギターを弾いてドラムを叩いた。

 

「ギターを弾いた(従属節)」と「ドラムを叩いた(主節)」を、テ形接続でつなげた文です。

テ形接続では、従属節と主節が一つのかたまりとする原則があります。

つまり、原文のままでは、ギターとドラムを同時に演奏したと読み取られる可能性があるのです。

現実的に、それは不可能ですね。

このような場合には、連用中止を使います。

 

 

改善文
 彼はギターを弾き、ドラムを叩いた。

 

冒頭にあったように、連用中止では従属節と主節が区別されます。

こうすることで、ギターを弾き終えてからドラムを叩いたと、自然に解釈できます。

 

日本語には、ある程度の齟齬があっても理解できるような含みがあります。

たとえ原文のままでも、改善文での解釈をする人がほとんどでしょう。

読み手にとって、この違いは微小なものなのかもしれません。

 

しかし連用中止は、特に使う機会が多い用法です。

書き手として、これを無視することはできませんね。

正しく書くために、この違いを理解し、使い分けることができるようになりましょう。

 

Posted by 赤鬼