「する」と「させる」を区別する

 

文章に起こるミスのほとんどは、言葉の使い方を誤ったものです。

なかには、書き手自身はもちろん、読み手すらも気付かないミスもあります。

わかりやすい例をひとつ挙げるとすれば、「する」と「させる」の使い方です。

 

ときおり、このような文章を目にすることがあります。

 

 

原文
この会社は、従業員の負担を軽減させる工夫が必要だ。

 

軽く読み流してしまいそうですが、この文には不可解な点があります。

 

負担の軽減のために工夫を凝らすのは誰でしょう。

もちろん、「会社」ですね。

会社が工夫を凝らすはずなのに、他者に行動を促す意味の「させる」を使っています。

 

この場合は「させる」ではなく、「する」を使うほうが適切なのです。

 

 

改善文
この会社は、従業員の負担を軽減する工夫が必要だ。

 

これで、違和感なく読むことができますね。

 

このような「する」と「させる」の使い分けには、ポイントがあります。

それは、誰が行動を起こすのかに注目することです。

 

● Aが行動する

● AがBに対して、行動させる

 

主語となっているAが行動を起こす場合は、当然ながらA自身の行動です。

この場合は「する」で問題ありません。

 

しかし主語となっているAがBに対して行動を促す場合は、Bの行動になります。

この場合は、「させる」です。

 

言葉が意味するところを意識すれば、当たり前のことだと感じられるでしょう。

しかし冒頭にあったように、この違いは意外にも気付きにくいのです。

「する」もしくは「させる」と書いたときには、誰が行動を起こすのかに注目しましょう。

 

Posted by 赤鬼