「例外」に配慮した言葉選び

 

物事には例外が存在することを忘れてはいけません。

言い切ることを意識しすぎるあまり、文章の内容が矛盾していることが多々あります。

次のような書き方は、よく見られる間違った例です。

 

 

原文

立地条件の良い場所に店舗をかまえていれば、すべての店が安定した売上を見込めるだろう。

例外として、客単価が相場よりも高い店は回転率が下がるため、サービスの質で勝負する必要がでてくる。

 

違和感を覚える原因は、「すべて」という言葉にあります。

一行目で「すべて」と言い切っているのに対し、2行目ではすでに例外について言及しています。

不自然な印象が残ってしまいますね。

 

このような言葉選びは、文章をわかりづらくする要因となります。

修正しましょう。

 

 

改善文

立地条件の良い場所に店舗をかまえていれば、ほとんどの店が安定した売上を見込めるだろう。

例外として、客単価が相場よりも高い店は回転率が下がるため、サービスの質で勝負する必要がでてくる。

 

違和感のあった「すべて」から、「ほとんど」に変えてみました。

これで、1行目と2行目の違和感はなくなりましたね。

 

同じ使い方ができる表現はさまざまです。

 

「ほぼ」 「多くの場合」 「おおかた」 

「十中八九」 「たいてい」 「押しなべて」

 

実のところ、これらは書き手としてあまり使いたくない表現でもあります。

 

なぜなら、あいまいな表現はせず、言い切ることが文章の原則であるからです。

その度合いをしっかり明示できないのであれば、調査不足でしかありません。

書かないほうがマシと考える書き手も多いでしょう。

 

しかし、なにも禁止されたわけではありません。

むしろ、あいまいな物事を説明するときに、言い切ってしまうほうが危険です。

 

不確かな情報しかないのであれば、「すべて」のように断定してはいけません。

たとえ多少の含みをもつとしても、文章の内容が矛盾しない言葉選びをしましょう。

 

Posted by 赤鬼