文章を膨らませる手順

 

書くべきテーマによっては、思ったよりも文字数が少なくなってしまうことがあります。

無理に文字数を増やそうとしても、薄っぺらな文章になってしまいます。

それを防ぐためには、内容を充実させながら文章を膨らませる必要があります。

誰でもかんたんに実践できる手順をご紹介します。

 

手順は、全部で4つあります。

1. 伝えたい内容を詳しく書きだす

2. 関連する情報を付け加える

3. 比較対象をもちだす

4. 文型にはめこむ

 

テーマとして、「カフェオレが好き」であることを書くとしましょう。

 

 

原文
 私はカフェオレが好きです。

 

原文の表現では、わざわざ文章にして伝えなくても良いでしょう。

手順にそって、文章を膨らませます。

さあ、これがどこまで発展するのでしょうか。

 

 

1. 伝えたい内容を詳しく書きだす

ただ表面上の事実を書くだけでは、なにも伝わりません。

 

甘さは? 牛乳との割合いは? ホット? コールド? メーカーは? 行き着けのお店は?

 

どのようなカフェオレが好きなのか、詳しく書き出す必要があります。

 

 

2. 関連する情報を付け加える

どんなカフェオレが好きかを詳しく書き出したので、それに関連する情報を付け加えます。

 

カフェオレが好きな理由は? 好きになったきっかけは? それにまつわるエピソードは?

 

このように、書き手側の意見にもフォーカスしてみると良いでしょう。

カフェオレが主体である必要はないのです。

 

 

3. 比較対象をもちだす

書くべき文字数に到達しないときは、比較対象をもちだしましょう。

 

コーヒーは? お茶は? カフェラテは? その他の飲み物は?

 

ここでのポイントは、比較対象をもちだすことで「いかにカフェオレが好きであるか」を伝えることです。

相反する存在があれば、それと比較しても良いでしょう。

 

 

4. 文型にはめこむ

これまでの作業は全て、書くべき材料をそろえるための下準備です。

材料を文型にはめこむことで、本格的に書く段階に移るのです。

 

もっとも伝えたいのは、カフェオレが好きであること。

自由に書ける文章なので、起承転結を用いて書くのが良さそうですね。

 

 

 

さあ、ここまでくれば、だいぶ長い文章が書けるはずです。

実際に書いてみましょう。

 

 

改善文

カフェオレには強いこだわりがあります。

砂糖をたっぷり入れて、コーヒーの風味は少し香る程度。

薄味の甘いカフェオレが好みです。

 

冬はもちろんホット、夏になればキンキンに冷やしています。

そう考えれば、年中飲んでいることになりますね。

 

季節を問わずおいしく味わえる飲み物は、そう多くありません。

カフェインが入った甘い飲み物と限定すれば、なおさらです。

いつでもおいしく飲めるということも、カフェオレの魅力のひとつですね。

 

実をいうと、カフェオレは「母の味」なのです。

まだ小さい頃、大人の振る舞いにあこがれていた時期です。

私は、事あるごとに、コーヒーを飲みたがりました。

 

当たり前の話ですが、子どもの私にとってカフェインは刺激が強すぎます。

事情を理解できず駄々をこねる私に、母は薄味の甘いカフェオレを作ってくれました。

カフェオレというよりも、ホットミルクといったほうが正しいでしょう。

 

私は、その薄味の甘いカフェオレをコーヒーだと思いこみました。

でもそれが嬉しくて、おいしくて、大好きで、何度もねだりました。

年齢を重ね、コーヒーを飲めるようになっても、そのカフェオレを飲んでいました。

 

カフェオレに対するこだわり、その原点はここにあります。

しばらくの間、カフェオレのことをコーヒーだと勘違いしてたのは、ここだけの話です。

 

 

たった一言で済んだ内容が、随分と長くなりました。

しかし文章として書くのであれば、このくらいのボリュームは必要です。

 

もう一度、手順をおさらいしましょう。

 

 

1. 伝えたい内容を詳しく書きだす

→ 好きなカフェオレの詳細

2. 関連する情報を付け加える

→ 飲む時期と頻度を示す

3. 比較対象をもちだす

→ 他の飲み物にはない魅力を書く

4. 文型にはめこむ

→ 起承転結を用いる

 

この文で行なったことは、意外にシンプルです。

言いかえれば、文章を膨らませることは、決して難しくないのです。

 

これはノウハウやテクニックというよりも、意識の問題です。

「文字数をかせごう」ではなく、「内容を充実させよう」と思うことが大切です。

もしも文字数が足りずに悩んだときは、今回の内容、手順を参考にしてください。

 

Posted by 赤鬼