早い段階で主旨を示す

2017年8月8日

 

文章の組み立てに問題があると、最後まで読まなければ意味が通じなくなることがあります。

そのような文章では、読み手に大きな負担をかけてしまいます。

 

 

原文

バーのカウンターに座っていると、突然「結婚生活がうまくいかず、離婚しそうだ」という話をしてきた。

女としての意見を織り交ぜながら、できる限りのアドバイスをした。

話を終えると、このあとの予定について尋ねられた。

彼の話しぶりから察するに、おそらくどこかに誘うつもりなのだろう。

なるほど、これでは上手くいくはずがない、と思った。

見知らぬ男性に声をかけられた、という出来事だ。

 

最初の行を読んだ時点では、「誰に話かけられたのか」を読み取ることができません。

それが判明するのは、最後の行ですね。

つまり、すべての文章を読み終えるまで、読み手の疑問は解決しないのです。

 

たとえ最後まで読んでもらったとしても、すでに読み手は疲れきっているでしょう。

原因は、早い段階で主旨を示していないところにあります。

 

 

改善文

バーのカウンターに座っていると、見知らぬ男性がとなりの席についた。

彼は突然、「結婚生活がうまくいかず、離婚しそうだ」という話をしてきた。

女としての意見を織り交ぜながら、できる限りのアドバイスをした。

話を終えると、このあとの予定について尋ねられた。

彼の話しぶりから察するに、おそらくどこかに誘うつもりなのだろう。

なるほど、これでは上手くいくはずがない、と思った。

 

例に挙げた文章は、「見知らぬ男性に声をかけられたときの話」ですね。

内容の核となる部分を、最後の行まで引っ張る必要はありません。

改善文のように、なるべく早い段階で読み手に示すべきなのです。

 

そうでないと、書き手と読み手の足並みがそろいません。

主旨を提示しない時間が長ければ長いほど、読み手は「なんの話?」「何が言いたいの?」といった疑問をもったまま、読み進めることになります。

 

いわば、読み手を置き去りにしてしまうのです。

このような状況を防ぐためにも、なるべく早い段階で主旨を示すことが重要です。

 

文章の組み立てには、正解がありません。

起承転結や5W1Hといった、さまざまな要素が関わってきて、頭を悩ませることもあるでしょう。

 

ただし今回の内容をみてわかるとおり、主旨の置きどころはある程度限定されています。

組み立てに迷ったときは、なるべく早い段階にもってきましょう。

 

 

Posted by 赤鬼