なじみのある表現を使う

 

理解できない言葉が文章のなかにあったとき、読み手はどのような行動をとるのでしょう。

 

言葉の雰囲気からなんとなく予想してくれれば、まだ救いはあります。

最悪の場合、その部分を読み飛ばしてしまうことも十分に考えられます。

自分で意味を調べて理解してくれればありがたいですが、読み手の手間を取らせることに変わりはありませんね。

 

そうならないためにも、読み手にとってなじみのある表現を使うことが重要なのです。

 

 

 

例文

A. 私は、逡巡することなくその依頼を受けた。

B. 私は、ためらうことなくその依頼を受けた。

 

この文章において、なじみがあるとはいえない表現は「逡巡する」ですね。

読み物に慣れているのであれば、これを使ったAの文章をスムーズに理解できるでしょう。

しかしそうでない読み手は、この意味はもちろん、読み方すらわからない可能性もあります。

 

リスクをとってまで、小難しい表現を選択する必要はありません。

Bのように、なじみのある「ためらう」を使ったほうが、より多くの人に読んでもらえるでしょう。

 

これは、カタカナ語でも同様です。

 

 

 

例文

A. 営業実績に応じてインセンティブを得られるのだから、より一層やる気が出る。

B. 営業実績に応じてボーナスが支給されるのだから、より一層やる気が出る。

 

インセンティブとは「その人の意欲を引き出すために、外部から与えられる刺激」のことです。

この場合、インセンティブにあたるのは「ボーナス」ですね。

 

社会人として知っておいたほうが良いカタカナ語ではあるものの、すべての職場が「インセンティブ」という言葉を使っているとは言い切れません。

 

多くの人に伝えたいのであれば、あえてAのような書き方をする必要はないのです。

誰にでもわかる「ボーナス」という言葉を選択したほうが良いですね。

 

 

書く仕事の多くは、何年も前からインターネットが主戦場となっています。

不特定多数の読み手がいるなか、難しい表現は理解の妨げになってしまうのが現状です。

なじみのある表現を選びながら、より伝わる文章を構築していきましょう。

 

Posted by 赤鬼