書き手の観点で「世界観」が変わる
今回は、世界観について考えましょう。
ここで扱う「世界観」とは、書き手の文体からくる作風ではありません。
物語がもつ雰囲気として、扱います。
世界観は、「世界を観る」と書きますね。
物語の世界において、特定の雰囲気を演出するには「書き手の観点」が必要になります。
書き手の観点とは言葉どおり、書き手がその世界をどう観るかということです。
これによって、作品の雰囲気はがらりと変わってきます。
たとえば、私たちの日常について考えましょう。
嫌な出来事は数えきれないほどありますし、一方で嬉しいことや素敵なこともたくさんあります。
どの部分を切り取るかによって、日常の捉え方は変わってきますね。
これがそのまま、物語の描き方に通じるのです。
具体的には、書き手がどのような観点をもつかによって、物語に取り入れる要素の扱いが変わります。
おめでたい出来事であるはずの「結婚」を悲劇にすることも、悲しい出来事であるはずの「人の死」をコメディに仕立てることも可能です。
もちろん、書き手の意図を盛り込みながら描くわけですから、一文で実現できることではありません。
実際の執筆では、さまざまなシーンや描写をもって、大きな流れから特定の雰囲気を演出することになります。
そこで重要になるのは、書き手の観点が物語全体に通底していることです。
書き手の観点がブレなければ、たとえどのような要素を扱ったとしても、一貫性のある物語になります。
そうすることで読み手に納得感をもたらすことができ、物語の要素として機能するようになります。
結果として、これが物語の世界観となるのです。
世界を美しく描くのも、醜く描くのも、すべて書き手次第です。
特定の世界観を演出する場合には、自分がその世界をどう観るかに着目し、それを物語に通底させましょう。
■ 参考
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