テーマの社会的な機能を考える
今回は、テーマ主導で描く物語について考えます。
書き手がこのとき意識しておくべきことは、テーマにおける社会的な機能です。
かんたんにいえば「選んだテーマが社会的にどのように扱われるか」ということですね。
これを題材として、例を交えながら考えていきましょう。
創作のテーマに「純愛」を選ぶとします。
この言葉が社会でどのように扱われているかを、書き手は考えます。
一般的な印象として、純愛はこのような言葉で説明されるでしょう。
「美しい」「尊い」「見返りを求めない」
「純真無垢」「ひたむき」「下心がない」
どちらかといえば、ポジティブなイメージが強いですね。
つまり、純愛は「社会に対して良い影響を与えるもの」ということが推測できます。
純愛がもつ社会的な機能として、これを扱うわけですね。
物語をテーマ主導で描く場合、このプロセスが重要です。
テーマの社会的な機能を考えることは、世間にどのように読まれるかを考えることでもあるからです。
具体的には、物語の世界観や価値観、浸透する哲学や倫理観、作品全体からかもしだす雰囲気を把握することにもつながります。
作品を完成させるまえにこれらを自覚できるのは、テーマ主導で作業をすすめる大きなメリットですね。
もちろん、これは実際の執筆にも有効に使えます。
「純愛」という概念が、社会にとってポジティブなものであるとわかりました。
これを前提として、物語の世界観や価値観、舞台の設定などを考えていきます。
あらかじめ連想した「美しい」「尊い」といった概念は、登場人物の動き方や描写など、細かなところに活用できますね。
場面の展開やドラマの作り方では、「純愛と相反する概念」を取り入れて、対比させるのも良いでしょう。
創作に対するアプローチはさまざまで、やり方を決める必要はありません。
しかし、書き手自身が「どのような物語を書いているのか」を自覚できなければ、その内容は散漫としてしまうでしょう。
テーマの社会的な機能を考えることは、その予防策になります。
進むべき方向を見失うことなく総合的にマネージするためにも、今回の内容を参考にしましょう。
■ 参考
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