物語のテーマには2種類ある
今回は、物語のテーマについて考えます。
「それってどういう内容の物語?」と聞かれたときに、書き手はどのように答えるでしょうか。
この回答を考えるときに主軸となるのが、物語のテーマです。
何について書かれたか物語であるかを対外的に示すためにも、書き手はこれを自覚しておく必要があります。
物語のテーマには、大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは、書き手が意図して決めるテーマです。
「○○について書こう」と決めた書き手が、物語にテーマを織り込みながら書き進めていくのです。
たとえば、「信頼関係」をテーマにして物語を書くとしましょう。
かんたんな方法のひとつとして、主要な登場人物のセリフをもってこれを示します。
「信頼のない関係は意味がない」
これを物語全体に反響させることで、読み手とテーマを共有することができます。
早い段階で示せば、このセリフを物語の前提にすることができます。
これに反論する人物を登場させ、間にはさまれた主人公が葛藤する様子を描くこともできますね。
物語が進んだ段階で示すのも、決して悪い選択肢ではありません。
物語を通じて示す教訓にすることもできますし、読み手に考えさせるような倫理や哲学にすることもできます。
示すことを遅らせれば、そのテーマはより深く重いものになるでしょう。
もうひとつは、物語から自然と浮かびあがってくるテーマです。
創作の経験がない人にはわかりづらく、やっかいに感じられるかもしれません。
物語を書いているうちに、テーマがはっきりしてくることがあるのです。
「命の尊さ」をテーマに設定し、とある難病を題材に小説を書くとしましょう。
ところが、登場人物の人格や周囲との関わり方、そこで起こる出来事などによって、本来描いていたはずのテーマからズレる場合があります。
例として、「純愛」であったり、「後悔」であったり、「喪失」であったり、それこそ「信頼」であったり。
これらは、書き手が意図したものではないかもしれません。
もしもそのズレを修正できなかった場合は、当初設定したテーマが甘かった可能性が考えられます。
浮きあがってきたテーマは、物語から導かれたものであり、自然なかたちで読み手に伝えることができます。
大きく変質したテーマを受け入れることもひとつの手ですね。
遅かれ早かれ、書き手は物語のテーマを明確にしなければなりません。
自分が扱うテーマが、どちらの設定パターンで生まれたものなのか。
そして、どのようなテーマであるのかを自覚しておきましょう。
■ 参考
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