【物語の環境設定】場所を考える
書き手は、どのような場所で物語が進んでいるのかを明らかにしなければなりません。
その物語は、現代日本を描いたものなのか、はたまた異世界のファンタジーなのか。
孤独であり騒がしくもある都会で繰り広げられるのか、良くも悪くも風通しの良い地方で展開されるのか。
そのとき、登場人物はどこにいるのか。
物語を進める場所を「大・中・小」の枠組みで区別しました。
それぞれを見ていきましょう。
大の枠組み:世界
● 我が国日本では、年間の自殺者数が3万人にも及ぶという。
● 夜空を見上げると、月が3つあった
これは物語の基盤となる場所で、世界観の構築に深く関係します。
その世界での哲学や倫理が決まるという意味では、「国」のように大規模な共同体がもたらす環境もこれに含まれます。
もちろん実社会に限らず、パラレルワールドや別次元の宇宙と設定しても良いでしょう。
中の枠組み:地域
● 都会の夏はやけに暑い
● 田舎の木々や草花に癒される
「都会⇔田舎」や「本土⇔離島」のような対比関係に表われるように、地域性の違いは物語の進め方や描き方に強く影響します。
大の枠組みで設定した世界観のみでは、物事の在り方を詳細に描くことは難しいはずですね。
だからこそ、こうして場所をズームインする必要があるのです。
あいまいだった世界観を具体的な価値観となり、物語の世界をより明瞭にすることができるでしょう。
小の枠組み:個別の空間
● 地下室に監禁された
● 彼女を口説くため、行きつけのバーに誘った
これは「場面の設定」に深く関係する場所です。
例に挙げたように、特定の状況を作りだすための個別の空間であるため、これによって登場人物の動き方が変わります。
それに伴って、具体的な情景を描いたり、登場人物の心情を描いたりもできるのです。
「場所」の設定において通底しているのは、どれも舞台となり得る要素であるということです。
物語の基盤としての意味合いをもつ舞台はもちろん、それぞれの場面で描かれる舞台や、登場人物がおかれた状況を示すための舞台にもなります。
裏を返せば、場所を明確に設定していない物語は根幹からぐらついてしまう恐れがあります。
読み手に明言するかどうかはさておき、書き手のなかでは物語を描く場所をしっかりと固めておきましょう。
■ 参考
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