ネタの取り置きや流用を考えない
今回は、小説に盛り込むネタの扱いについて考えてみましょう。
扱いといっても、良いネタであれば書けば良いでしょうし、そうでないネタは書かなければいいだけの話です。
厄介なのは、中途半端なネタです。
執筆作業では、「良いネタではあるけれど書くには何かが足りない」といった状況がしばしば起こります。
書けない原因が物語の構造にあるのか、書き手の力量にあるのかは場合によるでしょう。
上手に活用できない中途半端はネタは、とりあえずメモ帳などに取り置きしておきがちです。
そして、しかるべきタイミングで流用するべく温存しておくわけです。
結論からいえば、中途半端なネタを流用することはおすすめしません。
たとえば、書き手が思いついたおもしろいネタを『作品A』に盛り込むとします。
しかし実際に書いてみると、どうにもその物語にハマりませんでした。
そこで、ネタを一旦取り置きして、次作である『作品B』に流用することにしました。
すると作品Bでは、そのネタを盛り込むことができました。
とても合理的で、適切な判断をしたように思えますね。
しかし実際、ここには無視できない問題が生じています。
それぞれの作品にとって、そのネタがどういうものであるかを考えましょう。
● 作品A ⇒ ハマらなかったネタ
● 作品B ⇒ 使いまわしのネタ
実のところ、どちらの作品にとってもポジティブなものではないのです。
書き手は、この事実を冷静に受け止める必要があります。
そもそも作品Aでは使えなかったわけですから、本当におもしろいネタなのかどうか、その信ぴょう性に疑問が残ります。
作品Bにおいては、ややもすると「ネタの流用ありき」で本来の物語をねじ曲げられた可能性すら考えられます。
もちろん、ネタといっても内容はさまざまで、その質や大小によっては問題なく流用できるものもあります。
ただし、使いまわしが可能な時点でそのネタは一定の汎用性があることになります。
つまり、流用を考えながら取り置きできるようなネタは、さほど重要なものではない可能性が高いのです。
本当に良質なネタは、わざわざメモにとらなくても書き手の頭にこびりつくものです。
物語の都合上、どうしてもハマらなかった場合でも、流用を考える必要はありません。
執筆途中で書き手が「おもしろい」と感じたネタであれば、鮮度が落ちないうちに今の作品に注ぎ込むべきですね。
あぶれてしまったネタのことは割り切って、その物語に見合ったネタに集中しましょう。
■ 参考
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