「地域性」を盛り込む
多くの小説は、標準語で書かれています。
もちろん、標準語での執筆は悪いことではなく、ここで警鐘を鳴らすべき危険性は一切ありません。
ただし、ひとつだけ注意点を挙げるとすれば、標準的な作品になってしまうことです。
書き手は、これを嫌いますね。
標準語を使うということは、「標準的な思考をもって物事を扱うこと」でもあります。
世界を描く自由度は間違いなく高まるものの、他を圧倒する「違い」を作るとなればそのハードルはかえって高くなります。
そこで提案したい方法が、作品に「地域性」を盛り込むことです。
書き手がもたらした地域性は、作品全体に大きな影響をもたらすのです。
作品に地域性を盛り込むにあたって、もっともわかりやすいのは「方言」ですね。
登場人物のセリフに方言を使ったと同時に、物語ではさまざまな要素が限定されることになります。
当然ながら、描くべき内容もそれに応じて規定されていきます。
● 「土地」「地形」「気候」「建物」「街の様子」
⇒ その地域に見合った景色や風景を描く
● 「慣習」「風習」「信仰」「価値観」「人間関係」
⇒ 地域社会の様子や、地域住民ならではの在り方を描く
● 「職業」「服装」「食生活」「時間の使い方」「行動パターン」
⇒ 地域の実情にそって、描くべき内容の細部を演出する
たった一回の方言を使っただけでも、枚挙に暇がないほど多くの要素に影響を与えます。
これらは、ほとんど自動的に規定されます。
誤解を恐れずにいえば、地域性を盛り込むことによって物語のすべてが決定付けられるのです。
創作において「限定」「規定」「決定」されるとなれば、書き手は億劫に感じるかもしれません。
しかし、作品にとっては決してネガティブなことではなく、むしろポジティブな変化をもたらすことが多いです。
方言の独特な表現もさることながら、そのリズムや赴きには大きな魅力がありますね。
そのなかで紡がれる世界や、人間の有り様も同様です。
「地域特有の雰囲気」が物語に充満していれば、読み手を作品に引き込むことができるでしょう。
地域性は、ありきたりな作品から脱する手立てのひとつです。
そこには、非凡な作品になり得るポテンシャルが潜んでいます。
戦略的に盛り込むことで、他の作品との「違い」を作りましょう。
■ 参考
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません