【伝わる文章】「説明」から「描写」に変えるテクニック【場面の描き方】

 

「描写」と「説明」の境界線はあいまいです。

「描写したつもりだったのに、いつの間にか説明になっていた」という状況も珍しくはありません。

 

今回は、描写するテクニックについてご紹介します。

誰でもかんたんに使えるものなので、この記事を読めばすぐに実践できるでしょう。

 

 

現在形・現在進行形で書く

描写において重要なのは、場面に臨場感をもたらすことです。

「その場にいること」「その場で起こっていること」「その場で感じ取れること」

このような様子を巧く示すことができれば、読み手もその文章に同調するはずです。

 

もっとも手早い方法は、現在形や現在進行形を使うことです。

語尾の時制を少し変えるだけでも、場面に臨場感をもたらすような描き方ができるでしょう。

 

 

「説明」と「描写」の比較 

それでは実際に比較してみましょう。

まずは、説明らしくなってしまった例文をみてみます。

 

通りを抜けたとき、僕たちを出迎えたのは壮大なイルミネーションだった。

「うわあ、きれい」

彼女は笑った。

 

書き手からすれば、場面を描写したつもりでしょう。

文章は自由であるべきですから、書き手の真意や意図、書き方そのものを否定することはできません。

 

ただし、説明文との区別がつきづらいことも確かです。

ここで現在形・現在進行形に書きなおしてみましょう。

 

通りを抜けたとき、僕たちを出迎えたのは壮大なイルミネーションだった。

「うわあ、きれい」

彼女は笑う。

 

通りを抜けたとき、僕たちを出迎えたのは壮大なイルミネーションだった。

「うわあ、きれい」

彼女は笑っている。

 

 

いかがでしょうか。

「臨場感」という意味では、書き直した例文のほうに軍配が上がることは間違いありません。

先に挙げた例文と比べてみると、描写らしくなったのではないでしょうか。

 

 

筆致の変化が期待できる

文章を書いていると、「~だ」「~だった」で続けてしまうことが多々あります。

同じような文体を連続させると、読み手にストレスを与えてしまうことにつながります。

だからこそ「文章の書き方」としてはNGとされているのです。

 

今回ご紹介したテクニックは「描写するため」のものでした。

しかし語尾に変化をつけることで、結果として筆致や文章のリズムにも変化が加わります。

これは場面の描写だけでなく、文章全体に良い影響をもたらします。

 

現在形・現在進行形への変換は、とてもかんたんに使えるテクニックです。

場合によって「合う・会わない」の差が出ることはあるでしょうけれど、試してみる価値はあります。

描写したはずの場面が「単なる説明」のように思えたときは、すぐに実践してみましょう。

 

■ 参考

 

Posted by 赤鬼