【創作】小説から浮かび上がってくる真実【仮想現実での実験結果】
こちらの記事では、小説を書くことが実験であるとご紹介しました。
今回はそこでの「実験結果」について考えていきましょう。
現実世界と共有できるもの
たとえば私たちは、『ドラえもん』の物語から「友情」を学ぶことができます。
ジャイアンの横暴な素振りや、スネ夫のずる賢い立ち回りに嫌悪したり、しずかちゃんの女性的な優しさに心癒されたりもします。
これらのさまざまな感情は、『ドラえもん』の世界だけのものではありません。
現実世界でも共通して感じられるものですね。
小説を書くことが実験だとすれば、そこで得られる「実験結果」は現実世界と共有できる性質をもっています。
もしも物語が破綻していたり、登場人物のパーソナリティがあやふやだったりすると、「友情」「嫌悪」「癒し」などは浮かび上がりません。
小説として成立していれば、外面はフィクションであっても、その内面では現実と変わりなく共有できるものがあるのです。
これは「学び」や「気付き」、「テーマ」や「モチーフ」ともいえる大きな概念の場合が多いです。
物語で学問をロールプレイする
もっと具体的なものが実験結果として出力される場合があります。
一言でまとめると「学問」です。
例
● お金にまつわる話 ⇒ 経済学
● 街や人々を描いた話 ⇒ 社会学
● 心理を掘り下げた話 ⇒ 心理学
小説を書くことは「仮想現実」を構築することでもあります。
前項と同様、仮想現実のなかで物語が展開されれば、そこに浮かび上がってくるものがあるはずですね。
上記のように、社会に対してアクチュアルに作用する「学問」としての性質をもつ場合があります。
おおまかにいえば、純文学が「哲学」の領域に踏み込んだり、大衆文学が「科学」の先駆けとなったりもします。
再び『ドラえもん』を例に出すと、作中で登場した「ひみつ道具」にはすでに実現しているものも多数あります。
いわば学問をロールプレイするようなかたちで物語が進行しているわけです。
「真実」を認識する
ここまでご紹介したとおり、物語が「小説」の体をなしていれば、そこに浮かび上がってくるものがあるはずです。
ジャンルに関係なく、「事実が一切含まれていないフィクション」を書いたとします。
その物語のなかに事実はなくとも、真実は存在しているはずですね。
浮かび上がった真実は、小説から得られる実験の結果であり、物語が描きだす哲学や科学にもつながります。
真実を意識するのは、あまりにも漠然としていて、なかなか難しいことです。
「物語から浮かび上がったものはなんだろう」
「それは現実世界と共有できるものだろうか」
「学問のように定義づけできるものだろうか」
このように書き手は、真実をできる限り具体的に認識するように心がけましょう。
なぜならそれは小説から得られる「学び」や「気付き」、物語の「テーマ」や「モチーフ」に還元できる確率が高いのです。
書き手が意図せずに浮かび上がってきた場合はとくに、物語の真実を理解することが重要です。
あらかじめ意図して描いたのであれば、浮かび上がってきた真実が「予想と合致しているかどうか」をひとつの指標として捉えましょう。
■ 参考
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