場面は経過順に組み立てる
「場面の組み立て」は、全体の構成に大きく関わる部分です。
これについて、書き手は慎重に考えなければなりません。
安易な思いつきで、奇をてらった構成にチャレンジするべきではありません。
かえって書きづらくなる場合があります。
たとえば、このような導入です。
例
1. バーカウンターでひとり、うなだれながら酒を呑む。
2. 事情を聞いてきたマスターに、成り行き(物語の本筋)を語る。
3. 「回想録」のかたちをとりながらも、本題に入る。
このような場面を設定して、回想録という前提を立てて物語を書き始める。
もちろん、場所はバーカウンターでなくても良いですし、話し相手はマスターでなくても良いです。
ありがちな導入ではありますが、決して悪いアイディアではないはずです。
それでは、このまま書き進めていったとして……
回想が終わる場面はどうなるでしょう。
単純に考えれば、導入部分の場面に戻ることになりますね。
「本題にどのようにつなげるか」や、そこで「回想がどのように作用するか」は、厳しいクオリティチェックにさられることになります。
そう考えると、最初から時系列を前後させる手法は書き手にとって良いことばかりではないのです。
また、読み手に対しても少なくない負担をかけてしまうでしょう。
物語の時系列が前後しているため、読み手は必要以上に頭を使わなければなりません。
納得させる書き方をするのは書き手の役目ですが、これもなかなか大変なことです。
それだけでなく、「過去に起こった内容を語る」という前提条件がついてしまうと、内容に客観性をもたらすことが難しくなります。
相対的な立場から語るのではなく、主観でしか語れない構造になるからです。
かんたんにいえば、「単なる昔話」や「自分語り」になりがちなのです。
物語の時系列を前後させるとしたら、それは書き手が緻密に計算した上で行うものです。
安易に場面を組み立てると、書き手は自分の首を絞めることになりかねません。
対処法はとてもかんたんです。
場面は、経過順に組み立てればいいのです。
時系列にそって書くことで、内容が限定されることはなくなります。
それどころか、場面の追加や推敲、取捨選択などもスムーズに行うことができるのです。
経過順に組み立てたほうが、執筆しやすくなるのは明らかですね。
時系列を前後させる構成を考えるのは、組み立ててからでも遅くはありません。
まずは、時系列にそって書き、場面を経過順に組み立てること。
これを念頭において、執筆しましょう。
■ 参考
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