ひとつの場面を「物語」として描く
今回は、場面を上手に描くコツをご紹介します。
「コツ」と銘打っていますが、心構えや姿勢、考え方というほうが正しいのかもしれません。
さっそくですが、
「ひとつの場面を小さな物語として成立させること」
これが場面を上手に描くコツです。
不思議なもので、よく書けている小説はひとつの場面だけを切り取ってみても成立していることが多いのです。
もちろん場面には前後の関係があるため、例外がないとは言い切れません。
しかしながら、たとえ作品の内容をすべて把握していなくても、場面のなかには一度読み始めると引き込まれるようなものがあるのです。
場合によっては、ショートストーリーを読んでいるかのように錯覚することすらあります。
物語のような場面を描くためのテクニックは、意外にもシンプルです。
たとえば、場面に「5W1H」の要素をしっかり組み込むことや、起承転結といった「文章の型」を意識することなど。
ようするに、書き方の基礎・基本ですね。
これに基づいて執筆することで、内容に具体性が生まれ、なおかつ読みやすいものになるのです。
それとやはり場面には、読み手に「魅力」を感じさせる何かがなければなりませんね。
ひとつの場面を、単なる記録帳にとどめておくのではなく、その先の展開を待望させるようなものを描く必要があります。
こうした魅力の大部分は「書き手の感性」によるところであるため、詳しくは割愛します。
理解しておくべきは、「先述したようなテクニックをもってこの魅力を伝える」という因果関係です。
読み手の目を引く魅力と、それを伝えるテクニック。
考えてみると、これは小説の執筆に限らず、良い文章を書くためには必ず備えていなければならないものです。
つまるところ、ひとつの場面にこれらを網羅するとなると、物語として成立しないわけがないのです。
小さな物語がいくつも連なり、大きな作品となる。
場面ごとにワクワクできる読み手は、きっと最後まで読み通してくれるはずです。
「小さな物語」を意識しながら、場面を描きましょう。
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