登場人物を愛するということ

書き手は、登場人物の詳細を綿密に設定して、作品として描きます。

登場人物の人となりは、さまざまな心の動きを生じさせるでしょう。

 

ある意味では、生命の創造と同様なのです。

 

たとえ「架空の人物」である前提は覆らないとしても、小説の世界に存在していることは確かです。

人として存在しているからこそ、物語を紡いでいくことができるのですから。

 

 

そのとき大切なのは、「作者としての親心」をもつことです。

 

生みの親である作者が、その子を愛さなくてどうするのでしょうか。

「○○はやさしい子だから……」と、一端の親のようにふるまってもバチはあたりません。

 

たとえばヒール役、いやな人物像を描いたときでも同じです。

「××は問題ばかり起こすけど、こういう事情があって……」のように、ある程度の理解を示したって良いのです。

 

 

なぜこのような心構えが必要かというと、登場人物に人間味を与えるためです。

描いた登場人物が「とってつけたようなマネキン」では、物語にリアリティは望めないでしょう。

読み手からすれば、共感も理解も感情移入もできないような、いてもいなくても変わらないような人物になってしまいます。

 

精一杯の愛を登場人物に注ぐ。

そうすることで、登場人物が「生きた人間」として動きはじめるのです。

 

どのような人物だったとしても、描いたのは作者自身です。

親として、彼らを愛してあげてください。

創作

Posted by 赤鬼