先入観を捨てて物事を思考する
先入観は、書き手にとって厄介な存在です。
書き手が先入観に縛られてしまうと、文章の幅は極端に狭まってしまいます。
たとえば、「コロンブスの卵」です。
コロンブスは、底部の殻を割ることによって卵を立たせることに成功しました。
しかし実際のところ、殻を割らなくても卵は立ちます。
モノにもよりますが、単体で自立できる卵もあるのです。
「工夫なくして卵は自立できない」と思い込んでいた人は少なくないでしょう。
有名な逸話を考えなしに信じてしまえば、例外に気づかないだけでなく、本質的なものを見落とすことになります。
書き手であれば、先入観による思考の限定は避けなければならないのです。
ただし、これはかんたんなことではありません。
物事を考えるときには、頭のなかを「白紙」にするのがベストですが、その一方で経験や知識をないがしろにはできません。
先入観を払拭するポイントは、物事を疑うことです。
これは、すべてにおいて疑心暗鬼になるべき、とまではいいません。
大きな流れに逆らうメンタリティをもつことが重要なのです。
容疑者Aと容疑者Bを並べて、明らかに容疑者Aが怪しかったとしましょう。
そこで容疑者Bが犯人である可能性を捨ててしまうのは得策といえませんね。
書き手であれば、物事を多角的・多面的に考えるべきです。
「逆張り」をしながら、同時進行で思考を深めていく必要があります。
そうすれば、身体に染みついた先入観を薄めることができます。
結果として、フラットな視点から物事を捉えられるようになります。
先入観の影響は、歳を重ねるごとに強大になっていきます。
新しい概念や価値観に順応できず、本人が自覚しないうちに思考は凝り固まってしまいます。
書き手である以上、その波に抗う姿勢はとても大切です。
幅広い知見をもちながら、読み手の心に響く文章を書いていきましょう。
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