読み手の心情を見据える

書き手は、読み手が何を感じているのかを常に考えなければなりません。

とくに場面を描くときには、読み手の心情を見据えることが前提となります。

たとえば、「自分が部屋に何者かが侵入した」ことを描く場面があったとします。

① 数日前から、部屋に入ると違和感を覚えることがあった

② よく見ると、物の配置が少しばかり変わっていたようだ

③ ベッドに横たわると、枕から自分以外のにおいがすることもあった

④ 冷蔵庫を開けてみると、目印をつけていた食べ物や飲み物が減っていた

⑤ どうやら、自分が不在の間に何者かが侵入しているようだった

ふとした違和感から、ささいな疑問が沸き、不快感が芽生える。

主人公が検証したことにより、確信に変わる。

そして、恐怖を感じる。

展開としてはB級かもしれません。

しかし、主人公と足並みをそろえた読み手は、この場面から似たような心境を共有していると予想できます。

書き手は、この感覚を忘れてはいけません。

単なる情報として伝える場合は、「何者かが侵入したようだ」と書けばそれで済むでしょう。

ジワジワと読み手の恐怖をあおりたいのであれば、段階的にこの場面を描かなければならないのです。

ここで重要になるのは、読み手の心情を見据えているかどうかです。

「読み手がどのように感じているのか」を考えることによって、場面の描き方が変わってきます。

読み手にもっと強い恐怖を与えたいのであれば、現在も潜んでいることを匂わすとか、侵入者が複数いることを示唆するとか、それなりの工夫を考えることができますね。

これらの工夫は、読み手の心情を考慮しなければ成立しないのです。

例に挙げたのは「恐怖」というわかりやすい感情でしたが、見据えるべき読み手の心情はネガティブなものだけではありません。

描きたい場面によっては、「感動」や「喜び」のようなポジティブな心情であっても同じように視界に入れておくべきです。

もしも考えなしに描いたとしたら、その場面は書き手の独りよがりなものなるでしょう。

読み手が追従できる内容であればまだ良いのですが、そうでない場合は「ただ読むだけ」の作業を延々とくり返すことになります。

読み手の心を動かすためには、書きたいことを書くだけでは不十分です。

書き手は常に、「読み手ありき」の描き方をしていきましょう。

■ 参考

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