読み終えたあとの「変化」を意識する
今回は、「読み終えたあと」について考えていきましょう。
どこかの誰かが、あなたの書いた物語を読み終え、本をパタンと閉じた瞬間をイメージしてください。
そのとき読み手は、どのようなことを感じ、どのようなことを考えているでしょうか。
書き手は、この一瞬に着目しなければなりません。
ただひたすら小説を書くことだけが、書き手の仕事ではないはずです。
読み手が作品を読み終えたあとを、しっかりと見据えるべきなのです。
「読み終えたあとを見据える」というのは、かんたんにいえば、どのような変化を与えられるかを考えることです。
わかりやすいのは「学び」や「気づき」ですね。
場合によっては、「心の揺らぎ」や「言葉にならない感情」を得ることもあります。
そこに描かれた内容が議論や批評を巻き起こせば、「問題提起」の機能を果たすこともあるでしょう。
このように、作品を通じて読み手が得るものを提供できれば、「変化」を与えたと判断できるでしょう。
読む前と読んだあとの心境になんら変化がないとしたら、作品の価値が問われてしまうことになります。
ややもすると、読む意味がないと評価されることもあるでしょう。
だからこそ書き手は、「作品を読む前」と「作品を読んだあと」の変化を意識するべきなのです。
そこで意識した変化は、かならずしも言語化できるものとは限りません。
言語化できないからこそ”物語”として描くのであって、そう考えると「あいまいなもの」であって当然ともいえます。
とくに、読み終えたあとの感覚となれば、それは「物語全体からにじみ出る何か」によって左右されます。
執筆している最中であっても、書き手の思いどおりになる保証はありません。
むしろ、書き手自身ですらコントロールできないものを生みだすことのほうが多いでしょう。
理想としては、意識した変化が書き手の「伝えたいこと」や「表現したいこと」と一致している状況ですね。
しかし、あまり難しく考える必要はありません。
作品の読後感を見据え、読み手に与える変化を意識しながら書くだけでも、「その作品の価値」や「その作品を読む意味」につながります。
読み手の心を動かすべく、読み終えたあとに目を向けながら文章を紡いでいきましょう。
■ 参考
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