実在の人物をモデルにする
登場人物の設定については、これまでたびたびご紹介してきました。
今回は、実在の人物をモデルにすることについて考えてみます。
登場人物の描き方は、「書き手が創造する」か「実在の人物をモデルにする」かの2パターンにわかれます。
実在の人物をモデルにするメリットは、ほとんど自動的にリアリティが付与されることです。
あくまでも創作とはいえ、「実際にこういう人がいる」という根拠をもってその様子を描くことができるのです。
ここでの意味合いとしては、「モデルとなった人物をよく知っているから詳しく描ける」ではありません。
もちろん、その意味でのリアリティはあるでしょうけれど、もっと本質的なところから考えてみましょう。
事実として存在する人物ですから、書き手はそのリアリティに圧倒的な確信をもっているはずです。
この確信は、物語のなかでの描き方はもちろん、細かな語り口にも大きく影響するでしょう。
たとえあっさりと書いたつもりであっても、そこには強い説得力をもったリアリティが生まれるのです。
これは、書き手が創造するときに意識するリアリティとはまったく別のものです。
「ゼロから生み出した登場人物の人となり」を伝えるときは、すべてが書き手のさじ加減にゆだねられます。
場合によっては、書き手の意図が透けてみえてしまうこともあるでしょう。
その扱いや描き方、表現をみながら、「○○のように思わせたいんだな」「△△っぽく演出したいんだな」「××みたいな役回りなんだな」とか。
ここに生じているのは、読み手が「作品の枠を超えて考えてしまう状況」です。
小説の世界を逸脱するわけですから、書き手からすればそのような状況は避けたいはずですね。
実在の人物をモデルにすれば、その心配はなくなります。
書き手が肩肘張ることなく、自然な状態で登場人物にアプローチできるのです。
その人物であることがわかるように描くか、ある程度の脚色するかは書き手次第です。
しかし、モデルとなる人物への配慮は必要ですね。
「ウソの物語に出てくるキャラクター」とはいえ、描き方によっては現実世界での関係性が壊れたり、なにかしらの不都合が生じたりすることも考えられます。
これらも踏まえてすべての責任をとる覚悟をもっているのであれば別ですが、この記事では一定の配慮をもって書くことをおすすめします。
■ 参考
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