【作品の印象】小説のタイトルについて【象徴となる言葉】
タイトルの付け方、決め方について悩んでいる書き手は多いでしょう。
これを「言葉の選び方」として考えてしまうとキリがなく、個々の作品によっても最適解は変わってきます。
この記事ではタイトルのに使う文言を具体的に考えるのではなく、体系的な視点から考察していきます。
最後は、私個人のやり方をご紹介します。
文字数によって印象が左右される
権利関係さえクリアしていれば、タイトルの付け方に決まりはありません。
だからこそ、余計に決めあぐねてしまうことも多いでしょう。
「基準」のようなものがあれば、タイトルを決めるときの参考になるはずです。
決め方の基準としてわかりやすいのは、文字数の長短です。
タイトルに使う文字数によって、「書き手が望む作品の在り方」をある程度コントロールすることができます。
●長いタイトルを付ける
⇒ できるだけ具体的に説明したい
● 短いタイトルを付ける
⇒ 象徴的な一言で作品の品格を保ちたい
長いタイトルにするか、短いタイトルにするかで、作品の印象は変わります。
タイトルに割く文字数から作品の在り方を考え、読み手に印象づけるのも良いでしょう。
作品に対するイメージを象徴する
さらに具体的に考えていきましょう。
タイトルとは、得てして作品に対するイメージを象徴するものですね。
ここでは、3つのパターンを取りあげます。
● 内容を抽象的に表すもの
『告白』
⇒ 作品全体に反響する言葉をおく
● 付かず離れずで匂わせるもの
『しろいろの街の、その骨の体温の』
⇒ 具体と抽象のバランスをとりながら言葉を並べる
● 具体性のあるフレーズを設定するもの
『桐島、部活やめるってよ』
⇒ フックとなる具体的な言葉をおく
言葉の選び方や使い方、物語との距離感は、それぞれ異なっていますね。
ただしタイトルが「作品を象徴する機能」をもっていることは間違いありません。
書き手は、どの部分で、なにを切り取り、どんなイメージを象徴するのかを考えることが大事です。
物語から「作品」へ
「タイトルは書き手の好みでいい」ということで、私の考えをご紹介します。
私はタイトル先行で物語を書くことはありません。
常に、物語を優先しています。
書いている途中、早い段階で思いつくこともあれば、書き終えたときに浮かび上がってくることもあります。
物語にタイトルを付けることで、作品として仕上がるのです。
つまり私にとってタイトルは、物語から作品にするための作業なのです。
一通り書き終えてもタイトルが浮かばないときは、物語の内容を見直します。
テーマの掘り下げが足りていなかったり、余分な話を書きすぎていたりと、作品に対するイメージがまとまっていないことが多いからです。
早々に思いついたとしても、そのタイトルはあくまで暫定的なものとして扱います。
書き終えたあと、物語に対するイメージと照らし合わせながら答え合わせをする流れですね。
それもこれも、作品が世の中にどう開いていくかを見据えてのことです。
この感覚を大切にしましょう。
ご紹介したように、タイトルの付け方に決まりはありません。
付け方、決め方、やり方は千差万別です。
タイトルに悩んでいる書き手にとって、この内容が少しでも参考になれば幸いです。
■ 参考
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