「的・性・化」で逃げない
文章において、断定を避けたあいまいな表現は、ご法度です。
「的・性・化」を用いた言葉は、その代表格ともいえる存在です。
「~的」
「~性」
「~化」
普段から話し言葉として使っていれば、自然に見えるかもしれません。
しかしこれらには、「~のような」「~みたい」「~っぽく」という意味が込められています。
要するに「子供っぽい性格」のことを伝えたいのですが、そのまま書いてしまうと「奔放」や「露呈」という言葉に釣り合いません。
書き手の心理としては、文の印象をくずさないようにと考えた上で「幼児性」としたのです。
しかし「幼児性」という言葉は、いい意味にも、悪い意味にも捉えることができます。
物事を伝えるにあたって、これが最適な表現なのでしょうか。
A. あのときの奔放な態度は、彼の幼稚な性格を露呈していたのだ。
B. あのときの奔放な態度は、彼の純真な性格を露呈していたのだ。
幼児性というあいまいな言葉ではなく、このように表現してみましょう。
AとB、どちらの文にせよ、解釈がぶれずに伝わりますね。
「的・性・化」デメリットは、あいまいな表現であることだけではありません。
というのも、困ったことに、「的・性・化」は非常に便利なアイテムなのです。
「的」は形容詞の語幹として、「性」と「化」は名詞として使用できます。
これらを使えば、思いついた言葉を文章に組み込みやすくなります。
それに加え、意味に含みをもたせることで、言い切らなくてもそれらしく書くことができるのです。
書き手としては、とても楽ですね。
しかし、「的・性・化」はあくまでも、手抜きの表現でしかありません。
例文からわかるように、むやみに使ってしまうと解釈がぶれてしまう恐れがあります。
「的・性・化」を使って逃げるのではなく、どうすれば伝わるのかを考えることが重要なのです。
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