業界用語の扱いには注意する
書き手にとっての「当たり前」が、読み手に通用するとは限りません。
一般的ではない言葉を扱ってしまうと、独りよがりな文章になってしまうかもしれません。
業界用語を組み込むときは、とくに慎重になるべきです。
どれくらいの人が、「ヤメ検」の意味がわかるでしょう。
ヤメ検とは、検事の仕事をやめた人全般、もしくは検事の仕事をやめて弁護士になった人を指す言葉です。
いわゆる、業界用語のひとつですね。
ドラマなどを通じて知っている人もいるかもしれませんが、あまり一般的な言葉とはいえません。
このような業界用語を使えるかどうかは、「どこの誰に読ませる文章なのか」で変わります。
読み手がその業界に精通している前提にたった文章であれば問題ないでしょう。
もしもそうでない場合は、誰にでもわかるように書かなければなりません。
A. あの弁護士はヤメ検(検事の仕事をやめた人)だから、刑事訴訟はお手のものだろう。
B. あの弁護士は検事をやめた人だから、刑事訴訟はお手のものだろう。
C. ヤメ検とは検事の仕事をやめた人のことだ。あの弁護士はヤメ検だから、刑事訴訟はお手のものだろう。
誰にでもわかるような文章にするためには、大きく分けて3つの方法があります。
例文で使った方法は、次のとおりです。
A ⇒ かっこ書きで説明する
B ⇒ 誰でもわかる言葉に置きかえる
C ⇒ 前後の文で、説明する
読み手の層が業界に精通していない場合、書き手はこのような対策をほどこす必要があります。
文書によっては、注釈をつける方法であいまいさを解消することもできます。
しかし、一般的な実用文ではあまり使われないため、今回は割愛しました。
方法そのものを見れば、どれもかんたんにできるものばかりです。
決して、身構える必要はありません。
業界用語の説明は、いかに読み手のことを考えられるかがポイントになります。
どの方法を用いるかは、書き手次第です。
いずれの場合も読み手のことを考えなければ、わかりやすい文章にはなりません。
工夫すべき箇所を見逃さず、読み手に伝わるような文章を書きましょう。
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