表現のインフレは文章を乱す
文章を書くときには、いつも冷静であるべきです。
さまざまな思いが心の中にあったとしても、それをそのまま表現すると文章が乱れてしまうからです。
具体例を交えながら考えていきましょう。
原文
このボールペンは、当社の大人気商品です。
業界を問わず、各界のユーザーから大絶賛されています。
短い文章ながら、どこかうさんくさい印象を受けます。
とくに「大○○」といった表現ですね。
これが近い距離で続くと、読み手はひいてしまいます。
原文は、書き手が盛り上がりすぎた典型例です。
このように伝えれば「良さ」が伝わるだろうという思い込みから、考えなしに書いてしまったのでしょう。
一度冷静になって、表現を練り直しましょう。
改善文
このボールペンは、当社の人気商品です。
業界を問わず、各界のユーザーに愛用されています。
淡々と語るような筆致ですが、この文章にうさんくさい印象はありません。
むしろ原文にはなかった堅実さが感じられます。
書き手の冷静さがにじみ出ているので、内容も信用できるものになりました。
結果として「良さ」を伝えられるのは、改善文のほうで間違いありません。
「良さ」を押し売りするような書き方では、かえって読み手が興ざめしてしまいます。
さらには、次に紹介する商品のハードルも高くなり、そのたびに過度な表現を使わざるを得なくなります。
いわば、表現のインフレを起こしてしまうのです。
物事の良し悪しについて書くとき、書き手が必死になる必要はありません。
あくまで、冷静でいることを心がけるべきです。
文章の信用度を高めるためにも、表現のインフレを起こさないよう注意しましょう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません