相性の良い言葉を選ぶ
今回は、連語について考えます。
ここで扱うのは成句や熟語としての連語ではなく、自然な語句の組み合わせという意味での連語です。
つまり、コロケーションですね。
例
× シャツをはく
○ シャツを着る
このように、言葉には相性があります。
「シャツをはく」のようなコロケーションを用いると、読み手に違和感を与えてしまいます。
書き手は、慣用表現として不自然にならないよう注意しなければなりません。
日本語を母語とする書き手であれば、コロケーションを大きく間違えることは少ないでしょう。
しかし、コロケーションの組み合わせには「幅」があります。
実際の執筆では、この幅が書き手に迷いを与えます。
次に挙げる文章を読んでみましょう。
例
① 彼女のために、お金を使った。
② 彼女のために、お金を払った。
③ 彼女のために、お金を出した。
どの文にも、コロケーションとして不自然な表現は見当たりません。
しかし、ニュアンスはそれぞれの表現で異なりますね。
書き手は、どの表現を使うべきかを判断しなければならないのです。
「お金を使った」とすると、「浪費してしまった」とも読みとれる文章になります。
「お金を払った」は、ニュートラルに事実説明をしているように感じとれますね。
「お金を出した」となると、どちらかというと「出してあげた」のような印象を与えます。
言葉の解釈には個人差があり、人によっては、上記とは違った解釈をする場合もあるでしょう。
書き手は、その差を含めて、読み手がどのように受け止めるかを推測しなければなりません。
もちろん、伝えたい内容との乖離がないように表現することも重要です。
善意でお金を払ったのにもかかわらず「使った」と表現してしまえば、誤解が生じかねません。
コロケーションは、そのときの心境であったり、前後の文脈であったり、状況によって適切な組み合わせが変わるのです。
幅のあるコロケーションは、文章のいたるところに潜んでいます。
「間違いではないけれど、適切ではない」という文章を生み出す要因となるのです。
文章の内容を吟味しながら、相性の良い言葉を選びましょう。
■ 参考
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