直喩と隠喩の使い分け

直喩と隠喩は、こちらの記事でご紹介した代表的な比喩表現ですね。

● 直喩と隠喩

今回は、これらの使いわけについて考えます。

 

 

直喩と隠喩の使い分けには、おさえておきたいポイントがあります。

「例えられるもの」と「例えるもの」の関係です。

 

 

例文1

例えられるもの ⇒ 「彼女」

例えるもの   ⇒ 「子猫」

① 彼女はまるで子猫のようだ。

② 彼女は子猫だ。

 

①は、直喩を使った文章です。

文面を見ても、違和感はとくにありませんね。

 

それに対して、②は隠喩を使っているのですが、この書き方には少し問題があります。

一見すると、文の意味が通じないのです。

 

「彼女=人間」であり、単に比喩表現を使っただけなのかもしれませんが、とらえかたによっては「彼女=メスの猫」とも読み取れます。

前提がわからない状態では、「彼女」と「子猫」では直喩を使ったほうが無難だと判断できます。

 

 

例文2

例えられるもの ⇒ 「彼女」

例えるもの   ⇒ 「天使」

① 彼女はまるで天使のようだ。

② 彼女は天使だ。 

 

①と②を見比べても、内容の意味に大差はないように思えます。

 

違いがあるとすれば、②の隠喩を使った文では、簡潔に言い切った表現ができていますね。

①でも意味する内容に変わりはありませんが、やはり読み手とすれば文字数は少ないのがベターでしょう。

 

「彼女=天使」は比喩表現として一般的であり、多くの人が「彼女=本物の天使」とは解釈しないでしょう。

この場合、より簡潔に表現した隠喩のほうが、読み手には伝わりやすいのです。

 

直喩と隠喩を使い分けるポイントは、「例えられるもの」と「例えるもの」の関係を見ること。

そう前述しました。

具体的には、両者をイコールでつなげたとき、読み手に誤解が生じるかどうかを考えることです。

 

比喩の表現は、書き手の裁量にゆだねられる部分が非常に多くあります。

そこには、例にあったように、読み手の解釈に誤解が生じる危険性もはらんでいます。

意味が通じないまま伝えることがないように、意識して使い分けましょう。

 

Posted by 赤鬼