感情語の扱いについて

 

今回は、感情を表現する言葉について考えます。

「感情語」と呼ばれたりもしますね。

 

感情語の例
喜び 嬉しい / 楽しい / 良い
悲しみ 悲しい / 痛い / 残念
愛情 愛してる / 好き / 愛おしい
嫌悪 嫌い / 苦手 / 辛い
恐れ 恐ろしい / 怖い/ 不安
怒り 怒る / 腹が立つ / むかつく

 

これら感情語が、文章にとってどのような位置づけになるのか。

そして、どのような効果をもたらすのかについてみていきましょう。

 

 

例文1

電車内で弁当を食べる乗客に困っている

不意に鼻をつく弁当のにおいが苦手だ

 

 

この文章は主語がはっきりしていません。

しかし、誰の思いがこの文に書かれているかは明らかですね。

そう、書き手です。

 

例に挙げた「述語に感情語を使っている文」は、主語を明確にしなくてもその意味は自然に伝わります。

「主語=書き手」と読み手の脳内で補完されるため、違和感なく文として成立するのです。

このようにして書かれた文は、「主観文」や「主観的文章」とも呼ばれます。

それを支えるのが感情語、というわけですね。

 

つまり、感情語は書き手の主観を前面に出すことができます。

書き手の強い主張を文に折りこみたいとき。

感情語を使えば、ごく自然にそれを達成できるのです。

 

 

ただし、当然ながら、これは主観を前面に出せる文章に限ってのことです。

客観性が求められる文章では、感情語の使用は控えたほうが良いでしょう。

 

先に挙げた例について、客観性をもたせるように書きかえてみます。

 

 

例文

電車内で弁当を食べる行為は、他の乗客に迷惑を及ぼす。

だからこそ、不意に鼻をつく弁当のにおいが車内に充満させるのはマナー違反だとされている。

 

主観的な印象はだいぶ薄れましたね。

 

主観性を打ち出す感情語を削り、物事を一般化するように書きかえる。

そうすると、文章の客観性が増すのです。

 

感情語は、日常生活のなかでも自然に出てくる言葉です。

書き手としては、これを上手く扱いたいものですね。

感情語を文章に落とし込むときは、その効果を意識しながら行いましょう。

 

 

■ 参考

 

 

Posted by 赤鬼