読み終えたあとの「変化」を意識する

2019年10月10日

 

今回は、「読み終えたあと」について考えていきましょう。

 

どこかの誰かが、あなたの書いた物語を読み終え、本をパタンと閉じた瞬間をイメージしてください。

そのとき読み手は、どのようなことを感じ、どのようなことを考えているでしょうか。

 

 

書き手は、この一瞬に着目しなければなりません。

ただひたすら小説を書くことだけが、書き手の仕事ではないはずです。

読み手が作品を読み終えたあとを、しっかりと見据えるべきなのです。

 

 

「読み終えたあとを見据える」というのは、かんたんにいえば、どのような変化を与えられるかを考えることです。

 

 

わかりやすいのは「学び」や「気づき」ですね。

場合によっては、「心の揺らぎ」や「言葉にならない感情」を得ることもあります。

そこに描かれた内容が議論や批評を巻き起こせば、「問題提起」の機能を果たすこともあるでしょう。

 

このように、作品を通じて読み手が得るものを提供できれば、「変化」を与えたと判断できるでしょう。

 

読む前と読んだあとの心境になんら変化がないとしたら、作品の価値が問われてしまうことになります。

ややもすると、読む意味がないと評価されることもあるでしょう。

だからこそ書き手は、「作品を読む前」と「作品を読んだあと」の変化を意識するべきなのです。

 

そこで意識した変化は、かならずしも言語化できるものとは限りません。

言語化できないからこそ”物語”として描くのであって、そう考えると「あいまいなもの」であって当然ともいえます。

 

とくに、読み終えたあとの感覚となれば、それは「物語全体からにじみ出る何か」によって左右されます。

執筆している最中であっても、書き手の思いどおりになる保証はありません。

むしろ、書き手自身ですらコントロールできないものを生みだすことのほうが多いでしょう。

 

 

理想としては、意識した変化が書き手の「伝えたいこと」や「表現したいこと」と一致している状況ですね。

しかし、あまり難しく考える必要はありません。

作品の読後感を見据え、読み手に与える変化を意識しながら書くだけでも、「その作品の価値」や「その作品を読む意味」につながります。

読み手の心を動かすべく、読み終えたあとに目を向けながら文章を紡いでいきましょう。

 

■ 参考

創作

Posted by 赤鬼