物語の「局面」を考える
今回は、物語の局面について考えてみます。
書き手が、おもしろい設定や展開、終わり方を考えついたとします。
しかしそこに物語が大きく動く局面がなければ、読み手は拍子抜けしてしまうでしょう。
読み手にとって魅力的な作品にするためにも、「局面」は必要不可欠な存在です。
ここで扱う局面とは、いわば「物語の読みどころ」のことです。
『桃太郎』を例として考えましょう。
● 桃太郎が生まれる ⇒ 設定
● 仲間を集める ⇒ 展開
● 鬼を退治する ⇒ 局面
桃太郎が鬼を退治する場面は、もっとも緊張感が高まる瞬間です。
もしもこの場面がなかったとしたら『桃太郎』は成立しないといっても過言ではありません。
鬼を退治する場面は、この物語が迎える重要な「局面」といえるでしょう。
このように考えると、おもしろい物語を書くのであれば相応の局面を設けるべきです。
しかしこれがなかなか難しく、書き手の頭を悩ませてしまう要因でもあります。
重要なポイントは、「物語がどのような局面を迎えるのか」を考えることです。
「”桃から生まれた桃太郎”はユニークだ」(設定)
「動物が仲間になる場面はおもしろいだろう」(展開)
このように「設定」や「展開」から物語が動かされることによって、局面のようなものがいくつもできあがります。
物語として成立させることだけが目的であれば、これでもかたちにはなるでしょう。
しかしこの段階では、「設定」した物語が「展開」によって進んでいるに過ぎません。
流れからもたらされる”それらしい展開”を、「局面」と思い込んでしまうわけですね。
書き手にとって、この状態は非常に危険です。
明確に盛り上がるような「局面」を設けなかったとしたら、『鬼退治しない桃太郎』になる恐れがあるからです。
どのような筋書きであっても、おもしろい局面を迎えられる素養をもっています。
それにもかかわらず、可能性を捨てて物語を終わらせてしまうのは非常にもったいないですね。
書き手が意図した局面を、構造に組み込むのも良いでしょう。
同時に、物語の世界での整合性をとりながら、読みどころ可能性の高い局面にもっていく意識も必要です。
漫然と執筆するのではなく、物語が大きく動く局面を見据えながら書き進めましょう。
■ 参考
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません