温めていたアイディアを捨てる勇気
小説を書きはじめる前の段階で、良いアイディアを思いつくことがあります。
セリフであったり、描写であったり、場面の展開であったりと、「これは使いたい」と思うネタのようなものですね。
書き手からすると、このアイディアは大事に温めたくなりますね。
物語の細部を鮮明にイメージしながら、”アイディアを再現するべく書きすすめる”こともあるでしょう。
しかし、かならずしも書き手のアイディアを再現できるとは限りません。
たとえ100%再現できたとしても、事前に浮かんだアイディアが物語にマッチする保証はないのです。
仮に、「そんなこといったってしょうがないじゃないかー」というセリフを思いついたとしましょう。
良きタイミングでこれを主人公に言わせるために、書き手は物語を展開させようとします。
ただし、小説には小説の世界がありますね。
そしてこの世界は、書くたびに変化していきます。
すると、まずは「書き手が望む方向に物語を進めることができるのか」という不安がでてきますね。
物語がどんどん動いていくなか、描いた青写真どおりにいかなくなってしまうことは十分に考えられます。
次に、「書き手のアイディアが物語にマッチするかどうか」を考えなければなりません。
少しでも違和感を覚えたのなら、そのアイディアはきっぱりと捨てるべきです。
今まで温めていたアイディアですから、「もったいない」と思うのも仕方がありません。
しかし、無理やりはめこむことになれば、そのアイディアが物語の流れをせきとめることになります。
具体的には、主人公が放つ「そんなこといったってしょうがないじゃないかー」というセリフが、物語から浮いてしまうのです。
物語に異物を混入させることは、書き手自身も望んでいないはずです。
もちろん、書く前に決めていたことすべてが使えなくなるわけではありません。
書き手にとって重要なのは、必要かどうかを適切に判断することです。
常に冷静でいることを忘れずに、物語から求められる内容を大事にしながら描きましょう。
■ 参考
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