【書き出しの型】状況から書き出す【いつ・どこで・誰が】
書き出しはいくつかの型に分類できます。
今回は「状況を示す書き出し」についてご紹介します。
これは小説やエッセイによく使われる型です。
詳しく見ていきましょう。
「状況を示す書き出し」とは
この型は、次のような要素を盛り込んで書き出します。
「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どうした」
つまり、5W1Hの考え方を流用するわけですね。
後述しますが、”Why(なぜ)”は書き出しの段階で一旦保留にしておきます。
「状況を示す書き出し」ですから、書き出しで伝えるべきは「そのときの様子」です。
まずは「伝えたい状況が伝わること」にコミットしましょう。
状況を示す書き出しの例
具体的な例をみていきます。
例
● 『むかしむかし、あるところに』(いつ)
● 『竹下通りは今日もにぎやかだ』(どこで)
● 『タバコを咥える父は、普段よりもいっそう渋い顔をしていた』(誰が)
状況を示す書き出しの例です。
あくまで「書き出し」であるため、詳細がわかるような文言を詰め込む必要はありません。
例に挙げたとおり、そのときの状況が規定される要素を盛り込みます。
書き出しに盛り込む要素としては、「なにを」「どうした」までは入れてもかまいません。
ただし、「なぜ」を入れることには慎重になったほうが良いでしょう。
「まったくもってNG」というわけではないものの、書き手からすればその後に続く文章の書き方が難しくなるのです。
「なぜ」まで示すのはもったいない
例にあった『タバコを咥える父は、普段よりもいっそう渋い顔をしていた』で考えてみましょう。
父が「渋い顔」をするのにもなにか理由があるはずで、読み手からすればその部分が気になるところですね。
すると読み手は、続きが読みたくなるのです。
たとえばこれが、『タバコを咥える父は、パチンコで負けたらしく、普段よりもいっそう渋い顔をしていた』だったらどうでしょうか。
渋い顔をしている理由が「パチンコで負けた」と明示されてしまえば、楽しみがひとつ減ることになります。
これが文学作品であれば、その後に続く内容で明らかにされる部分です。
先に提示してしまうのは、非常にもったいないことなのです。
書き手はそうならないように自制しつつ、書き出しを工夫していかなければなりません。
とはいえ、比較的構築しやすいのがこの型の特徴です。
書き出すための材料は、文章として描きたいその場面に散らばっています。
「なぜ」の扱いにさえ気をつけていれば、意外にすんなりと書き出せるでしょう。
■ 参考
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