係助詞「が」の使い方【「は」との違い】
今回は、格助詞「が」についてご紹介します。
文法上の区分なども説明しますが、より実践的な使い方に重きをおくつもりです。
「が」のもつ機能や読み手への伝わり方、ほかの語との関わりなどを中心に、「は」との違いをまじえながら考えていきましょう。
「が」について
まずは文法的な観点から、「が」について再確認しましょう。
「が」は格助詞であり、主体を指し示す機能があります。
例
● 赤鬼がギターを弾きました。
● 空が青く澄み渡っています。
● 水が飲みたいと思いました。
● 新しい車が欲しいです。
● 山田さんが犯人でした。
「主体」とは文の主語をはじめ、動作や欲求の対象も含みます。
これらの主体を指し示すのが、格助詞「が」の主な役割です。
「特定」と「排除」
「が」と同じような機能をもっているのが「は」です。
ただし、同じ意味の内容が書かれた文章であっても、その伝わり方には違いがあります。
例
① 私は赤鬼です。
② 私が赤鬼です。
①の文に比べると、②の文のほうが主語をより強調している印象を受けます。
格助詞「が」には、特定する力を強める機能があります。
これは、「は」にはない特徴のひとつです。
同時に、「が」にはほかの要素を排除する機能もあります。
「私が赤鬼です」と書けば、ほかの人物は赤鬼ではないと否定する意味も含まれます。
それに対して「私は赤鬼です」は、ほかの人物と同列、もしくは若干の強調が見られる程度で、排除するような意味合いを感じられません。
特定する力が強まれば、ほかの要素を排除する力も強まるのは当然ですね。
これもまた格助詞「が」の特徴といえるでしょう。
文節との密着度
最後に考えるべきは、述語との関係です。
下記の例文を読み比べてみましょう。
例
① あなたは/虹を見ると/笑顔になる
② あなたが/虹を見ると/笑顔になる
このとき、笑顔になるのは誰でしょうか。
「は」を使った①の文では、文中の「あなた」が笑顔になるはずです。
つまり「は」の働きは、「笑顔になる」という離れた述語にまで及ぶことになります。
一方で「が」を使った②の文で笑顔になるのは、「あなた」以外の人物ですね。
「が」では「虹を見る(と)」までしか作用せず、意味づけされる範囲は限定されるのです。
いいかえれば「が」が使われたときは、直後にある語との密着度が高くなるのです。
たった一文字の違いではありますが、例文のとおり、読み手に伝わる意味は大きく変わります。
書き手は、このことを理解した上で使い分けなければなりません。
日本語のネイティブスピーカーであれば問題ないはずですが、あらためて考えてみると迷ったり、悩んだりすることはあります。
とくに執筆するときには、混乱しやすいテーマでもあります。
格助詞「が」の使い方に迷ったときには、特定・排除の機能、述語との関わりについて見直して判断しましょう。
■ 参考
ディスカッション
コメント一覧
《係助詞「が」の使い方、「は」との違い》の “「が」について” の例文: 「水が飲みたいと思いました」はとても変ですね。”水”が「飲みたい」と思ったんですか? 「水を飲みたいと思いました」が正しい文章だと思います。
コメントありがとうございます。
主語を省略していることもあり、たしかに誤解が生じる文ですね。
「は」「が」についてはその扱いが非常に難しいため、貴重なご意見に感謝しております。
参考書籍の再読も併せて、追ってリライトします。
今後ともよろしくお願いいたします。